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ジャポネ |
ロメスパの元祖と言われるのは、銀座のINZ1に、1980年に開店した「ジャポネ」です。通路にへばりついたカウンターだけの店です。行列の絶えない大人気店ですが、創業以来、まったく店は変えていません。昔、ネット上で。B級グルメとは「訳あって別れた女。なぜか無性に会いたくなる」という傑作を見つけました。いい言葉です。まさにジャポネのスパゲティのことです。たまに食べたくなりますし、店の近くを通れば、魔法にかかったようにカウンターに座ることになります。夕方を除けば、常に行列があり、30~60分待ちは当たり前です。様々なメニューがあり、色々試してみたいと思うのですが、長い行列の末、カウンターに座ると、なぜか決まって「ジャリ大」と注文してしまいます。ジャリコの大盛りのことです。
看板メニューのジャポネは、肉、小松菜、タマネギ、椎茸等が入った醤油味のスパゲッティです。ジャリコは、それにしその葉、トマト、海老が入ります。他には、チャイナ、明太子、インディアン、ナポリタン等々があります。とは言え、やはり人気はジャリコとジャポネに集まっています。また、サイズ的には、レギュラー(350g)、ジャンボ(560g)、横綱(720g)が選べますが、実は裏メニューとして、親方(900g)と理事長(1,100g)が控えています。後輩が横綱に挑戦しましたが、死にそうになっていました。随分と通いましたが、一度だけ、親方を見たことがあります。例えるなら、ホテルのバッフェに並ぶスパゲティの皿そのものです。店中の客の視線が集まり、挑戦者の食べっぷりに注目していました。
勝手な想像ですが、ジャポネの親父は、名古屋のあんかけスパゲッティに着想を得て、ジャポネを創業したのではないかと思います。2.2mの太いスパゲティを予め茹でてある方式は、まさにあんかけスパゲティです。それを大量の油で戻すわけですから、体にいい食べ物とは言えません。しかし、体に良くない食べ物が美味しいのは、不変的大原則です。それこそ、正に、B級グルメに人々が魅了される所以であり、”無性に会いたくなる別れた女”である理由です。路面のスパゲティという言葉が登場した際、主に取り上げられていたのは、ジャポネと大手町の「リトル小岩井」だけだったと記憶します。リトル小岩井も悪くないのですが、やはりジャポネの濃い味にはかないません。最近では、ロメスパを売りにする店も、多少、増えているようです。
この40年、ジャポネの客層にも変化が見られます。かつては、若いサラリーマンだけでした。しかも時間的に融通が利く営業職中心でした。後ろに長い行列を背負って食べるので、皿がでたら、ほぼ格闘状態に入らざるを得ません。話ながら食べるカップルなどもってのほか、食べるのが遅い女性客も、ほぼ見かけませんでした。どうしても食べたい女性は、テイクアウトしたものです。ただ、時代とともに、女性も、カップルも増えました。私のように、昔を懐かしんで行く老人もいます。数年前、久々に行くと、親父が「久しぶりだろ」と言って、100円のサラダを出してくれました。(写真出典:tokyo-lunch-sweets.com)