ポーランドは、ドイツと並ぶソーセージ自慢の国として知られます。ポーランドが、ソーセージ大国になった背景として、古くから養豚が盛んであること、そして燻製が普及していたことが挙げられます。食糧事情が悪かったポーランドでは、14世紀、王室が、肉類を長期保存するため燻製に取り組みます。それが庶民の間にも広がっていくことになりました。ポーランドは、自国をポルスカと呼びますが、語源は野原だと聞きます。平坦な国土は農業に適しているように思えますが、地表は大陸氷河の影響によって砂質の土壌に覆われています。やせた土地では作物の実りも乏しく、食糧の確保は極めて厳しかったわけです。従って、養豚や燻製は生きるために欠かせないものとなり、それがソーセージの文化を生んでいったと言えるのでしょう。なお、現在のポーランドは、土壌改良等の成果もあり、EUの食料庫と言われるほど農業生産は高まっています。
NYにいた頃、隣町にドイツ系の家族が経営する精肉店があり、美味しいソーセージも売っていました。たまに食べましたが、アメリカで最もよく食べたソーセージは、ヒルシャイア・ファーム社の”ポルスカ・キールバーサ”でした。手頃な価格でアメリカ中のスーパー・マーケットで買うことが出来ます。ヒルシャイアのキールバーサは、直系3~4cmで40cmほどの長さのソーセージをU字型に曲げて売られています。超粗挽きで脂肪分が多く、コショウやにんにく等のスパイスを効かせ、しっかりスモークされています。焼いたり、煮たりもしますが、調理済みなので、基本的にはそのまま食べていました。味がしっかりしているので、パンはもとよりおにぎりとの相性も抜群です。また、小腹が空いた時にもピッタリです。しかし、残念なことに日本では売っていません。
キールバーサとは、ポーランド語でソーセージ全般を意味すると聞きます。キールバーサは、もともと古スラブ語だったようです。ですから、ロシアのコルバサ、ウクライナのコウバサなど、東欧では似たような言葉が見受けられます。その語源は、テュルク語のプレスして灰の中で焼いた肉、あるいはユダヤ語の肉類全般だとされます。ちなみに、スラブ系以外のソーセージの呼称は、ラテン系とゲルマン系に別れます。ラテン語の塩を語源とするのは、フランス語のソシス、イタリア語のサルシッチャ等であり、ラテン語圏ではありませんが英語のソーセージもラテン語からの派生です。一方のゲルマン系は、ドイツ語のヴルストに代表され、ねじるという古ゲルマン語に由来するとされています。豚の腸などのケーシングをねじるところから来ているのでしょう。
ソーセージの最も古い歴史は、5千年前のシュメールにあるとされます。中東で広がり、テュルク族経由で東欧にも伝わったということなのでしょう。キールバーサの語源とされるテュルク語の”プレスして灰の中で焼いた肉”とは、燻製を指すのではないかと思います。燻製は、7,000~10,000年前には行われていたと推測されています。恐らく、たまたま火のそばに置いておいた肉の水分が抜け、長期保存できることを発見したのでしょう。燻製には、様々な方法がありますが、押し固めた肉を、まだ温かい灰の中に入れておけば、低温燻製に近いものができるように思えます。つまり、ソーセージは、燻製から誕生したと言えるのではないでしょうか。だとすれば、しっかりとスモークするキールバーサは、ソーセージの原型に近いのかもしれません。(写真出典:hillshirefarm.com)






