フラタニティやソロリティは、社交クラブ、友愛クラブ等と訳されます。ロータリー・クラブ、ライオンズ・クラブ等も含まれますが、アメリカでは、ほぼ大学の社交クラブを指します。社交クラブとしては、日本の大学にもサークルなどがあります。ただ、アメリカのフラタニティは、まったく異次元の存在です。歴史の長さ、排他性、結束力、学内の邸宅風の寮、卒業後の強い絆といった独特の文化を築いています。伝統的には、男子学生を対象としたいわゆるボーイズ・クラブですが、女子学生、黒人学生のための組織もあります。全学生が参加しているわけではありません。フラタニティの数が全米最大というイリノイ大では参加学生が2割に達すると聞きますが、通常は、ごく限られた参加者数に留まります。いわば選ばれた者のための組織というわけです。
一般的なフラタニティは、政治、宗教、あるいはビジネス等を目的として、古くから、世界中で結成されてきました。時には秘密結社的でもあり、フリー・メイソンもその一つです。アメリカの大学におけるフラタニティの形態もフリー・メイソンの影響を受けているようです。その嚆矢は、1776年、ウィリアムズバーグにあるウィリアム・アンド・メアリー大の”ファイ・ベータ・カッパ”とされます。名称がギリシャ語であることもエリート主義や秘密主義の表れであり、その後、多くのフラタニティがこれに倣います。フラタニティの原型は、1825年に創設されたNY州ユニオン大の”カッパ・アルファ”とされています。当初は、大学当局から否定されていたようですが、次第にそのメンバーたちが社会的影響力を増していったことで公認されたと聞きます。
例えば、イェール大の”デルタ・カッパ・イプシロン”は、多くの財界人に加え、大統領も6人輩出しています。本人の優秀さや家柄に加え、強力なネットワークも成功要因になっているのでしょう。それにしても、大学のフラタニティという文化が、ほぼアメリカにしか存在しないことは不思議です。恐らく、アメリカのピューリタン文化や多民族国家というあたりが背景にあるのではないでしょうか。商工業に勤しむことが神に通じる道とするカルヴァン派ですが、欧州での弾圧を、信者が団結し、時に身を隠しながら耐えてきたDNAを持っています。また、多民族国家は、激しい競争社会でもあり、同じ民族や同質者の結束は生きていくうえで必須とも言えます。総じて言えば、厳しい競争を強いられる社会がフラタニティ文化を生んだとも言えるのでしょう。
大学のフラタニティには、どこか子供じみたところがあります。まるで子供たちの秘密基地遊びのようでもあります。秘密主義、独自のしきたりや合言葉、シンボル、独特なメンバー選考、ヘイジングと呼ばれるしごきのような通過儀礼など、いずれもが子供時代に経験したことを思い出させます。子供っぽいと言えば、それまでですが、それが強力なネットワークとしてアメリカ社会を動かしている面もあり、決してあなどれないわけです。思えば、アメリカの学校教育は、ひたすら競争ということを教え込んでいるようなところがあり、フラタニティはその最たるものの一つと言えそうです。アニマル・ハウスは、そうしたアメリカ社会の構造を皮肉っていたのでしょう。その根深さゆえ、笑いもグロテスクなほどにせざるを得なかったのかもしれません。(写真出典:filmarks.com)




