2026年2月24日火曜日

ラム酒

東京ディズニーランドは、隣町にあるというのに久しく行っていません。それどころか、ディズニー・シーには行ったことすらありません。子供たちが小さい頃には、毎年、家族で行っていましたが、子供たちも成長すると親とは一緒には行かないものです。ディズニー・ランドは大人も楽しめるので、大好きでした。アメリカにいる時には、フロリダのディズニー・ワールドにも3度ばかり行きました。ディズニー・ランドで最も好きなアトラクションと言えば”カリブの海賊”ということになります。スティーブンソンの「宝島」の熱烈なファンとしては、当然の選択です。テーマソングの”Yo Ho (A Pirate's Life for Me)”が聞こただけでワクワクしてしまいます。

”カリブの海賊”のなかで酔っ払った海賊たちが飲んでいるのは、間違いなくラム酒ということになります。ラム酒は、17世紀のカリブ海で生まれた酒です。もっとも、サトウキビを発酵させた酒自体は、大昔から、世界各地で作られていたようですが、現在に至るラム酒の製造法が確立されたのが、17世紀のバルバトス島、ないしはプエルトリコと言われています。そもそも、サトウキビ自体はカリブに自生しておらず、15世紀にコロンブスが持ち込んだ作物とされています。カリブ海は、サトウキビのプランテーションと化していきます。現地のインディオたちが奴隷として働き、彼らがヨーロッパから持ち込まれたウィルスで全滅すると、アフリカから黒人奴隷が連れてこられます。

ラム酒は、サトウキビの絞り汁や廃糖蜜を発酵・蒸留し、樽で熟成して作られます。ラム酒は、砂糖生産の副産物、ストレートに言えば残りかすから作られる安酒だったわけです。当初、ラム酒は、奴隷の栄養補給や懐柔のために作られたようです。また、ラム酒は、ビタミンC不足で発症する壊血病の特効薬と信じられていたので、イギリス海軍が水兵に支給し、商船や海賊船にも積み込まれ、港の酒場にも置かれていきます。船乗りと言えばラム酒、ラム酒といえば船乗り、という関係が生まれたわけです。実際のところは、ラム酒そのものに効果があったのではなく、混ぜて飲まれていたライムやレモンのビタミンCが有効だったようです。いずれにしても、この誤解が、ラム酒をカリブ海から大西洋全域へと広めていったわけです。

ラム酒のアルコール度数は40~80%に達し、とても強い酒だと言えます。海賊たちがヘベレケになるのも当然です。ラム酒は強い酒というばかりではなく、甘さとコク、そしてほろ苦い香りが特徴です。その風味の良さからして、お菓子等のフレーバー、あるいはカクテル・ベースとしても重宝されています。かなでも、ラム・レーズンは最も広く流通している加工品かもしれません。ラム・レーズンは、18世紀のイギリスで誕生しています。最初からラム酒とレーズンの絶妙な組合せをねらっていたわけではなく、単にレーズンを保存するために強いラム酒を使ったことから生まれたようです。ラム・レーズンは、アイスクリーム、チョコレート、パウンド・ケーキといった焼き菓子、あるいはレーズン・バターにも使われています。

レーズン・バターは、もともとドイツが起源だと言われます。日本では、1972年に小岩井農場が商品化しています。おりからのウィスキー・ブームと相まって人気を博しました。ただ、小岩井のレーズン・バターは、ラム・レーズンは使っていません。一方、1977年に発売された六花亭のマルセイバターサンドは、ラム・レーズンを使っています。2000年前後から大人気となり、今や北海道を代表する銘菓と言えます。マルセイバターサンドは、ホワイト・チョコレートが加えられている点がヒットした理由なのでしょう。1983年に札幌で創業されたロイズ・チョコレートも北海道土産の定番になっています。ロイズのラム・レーズンの板チョコは、とてもレベルが高いと思います。しかし、近年、ラム・レーズンを使ったお菓子の王様に君臨しているのは、鹿児島の梅月堂のラムドラだと思います。(写真出典:amazon.co.jp)

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