こんなに美味しいのだから、もっと作付面積を増やすべきだと思うのですが、不思議なことに、同じ苗を他の土地で育てても、同じ味にならないと聞きます。素人考えでは、土壌を研究すれば、なんとかなりそうな気もしますが、どうもうまくいかないようです。ただ、例外とも言えるのが、山形は鶴岡の名品”だだちゃ豆”です。だだちゃ豆は、江戸期、越後から伝わったとされます。詳細ははっきりしませんが、恐らく黒崎原産なのだと思います。”だだちゃ”とは親父という意味だとされますが、恐らく茶豆にかけている名称なのだと思います。だだちゃ豆は研究が進み、品種も増えているようです。
美味しい枝豆と言えば、丹波の黒豆の枝豆も人気があります。高級食材の黒豆ですから、いささかもったいない気もします。味わい深い黒豆枝豆ですが、やはり立派な黒豆として育てもらい、お正月に食べたいところです。枝豆は、未成熟の大豆を若採りしたものです。主に早生種の大豆が用いられるようです。大豆ですから、タンパク質が豊富で、食物繊維、ビタミンEも多く含まれます。さらに、若採りすることで、枝豆には、ビタミンC、カリウムも多く、実に健康に良い食品と言えます。中国から伝わり、日本では古くから親しまれてきました。近年では、欧米でも、健康に良いことが知られるようになり、そのまま”Edamame”という名前で広がっているようです。
茶豆は、なにせ塩茹でに限ります。ただ、枝豆全般で言えば、他の食べ方もありです。漬物も美味しいと思います。茶豆以外なら、是非、漬物にして欲しいと思います。また、香ばしい”ずんだ”も好物です。ずんだは、枝豆をペースト状にしたもので、甘いものだけでなく、塩味もあります。東北の名物ですが、伝統的には、甘いずんだを餅にからめて食べます。近年は、仙台のずんだ茶寮の活躍もあり、様々なスウィーツとしても売られています。また、青森県の南部地方には、”豆しとぎ”があります。ずんだに米粉・塩・砂糖を加え、ぬるま湯でこね、かまぼこのような形に成形します。そのままで食べますが、炙ると香ばしさが増します。
余談ですが、黒崎茶豆と同様、新潟でしかできないと言われているのが白根地区の”かきのもと”です。食用菊ですが、通常の黄色いものとは異なり、紫色になります。味や香りは、黄色いものと大差無いように思います。”かきのもと”という名前は、垣根の根本に自生していたから、と言われます。”かきのもと”は、白根以外では紫にならないと聞きました。ところが、山形にも、紫の食用菊があるのです。庄内の”もってのほか”です。実は、紫の食用菊は、中国から伝来した最も古い品種”延命楽”です。白根だけでできるというわけではないようです。ちなみに、”もってのほか”という名称は、天皇家のご紋を食用にするなどもってのほか、という意味だそうです。(写真出典:kurosakichamame.com)