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衝撃的な事実に驚かされます。録音された実際の通話を中心に映画を構成するという手法に驚かされます。イスラエルによるジェノサイドの悲惨な現実に、あらためて驚かされます。そして、ネタニヤフに対する怒りがこみ上げてきます。2024年1月29日、戦闘が激化するガザ北部から車で避難しようとしていた6歳の少女ヒンド・ラジャブとその親族は、イスラエル軍の戦車から襲撃されます。親族6人が死亡し、ヒンド・ラジャブだけが生き残り、車に閉じ込められます。ドイツにいる親族との電話をきっかけに、少女とパレスチナ赤新月社との通話が始まります。赤新月社は、救急車を派遣するためのイスラエルとの複雑な手続きに入りますが、遅々として進みません。3時間後、ようやく救急車は現場に到着します。しかし、救出直前、イスラエル軍戦車の攻撃によって、少女も救急隊員2人も虐殺されます。
実際の通話音声をそのまま使い、パレスチナ赤新月社の緊急センター内の動きが、役者たちによってドキュメンタリー・ドラマ化されています。限られたスペース、限られた役者だけでドラマは展開します。90分の映画ですが、緊張感が高い状態で保たれています。演出と演技もさることながら、そこで起きた悲惨な出来事とリアルな少女との通話記録がテンションを高め、維持しているのだと思います。そのことをどう評価すべきか、難しいところだと思います。さらに言えば、これは映画なのか、とさえ思います。もちろん、イスラエルへの批判、戦争の悲惨さは伝わります。ただ、それを訴求するようなプロットではなく、事実を伝えることに徹しています。客観性の高さで事の重大さを訴えるねらいなのでしょうが、ドラマというよりは報道といった印象を受けます。
イスラエルによるガザでのジェノサイドは、2023年パレスティナ・イスラエル戦争と呼ばれます。直接的な端緒は、10月7日、ガザを支配するハマスが、イスラエルに越境攻撃し、1,200人を殺害し、250人を人質として拉致したことだとされます。しかし、事は第一世界大戦後から続くパレスティナ紛争の一部です。ユダヤ人のパレスティナ入植を推進したシオニストは、世界、特にアメリカにおけるユダヤ人の資金と影響力、そして欧州においてはホロコーストへの同情を背景に、1947年、国連のパレスティナ分割決議を得て、翌年にはイスラエルを建国します。しかし、イスラエルは国連決議を無視して、パレスティナへの入植拡大、武力圧迫を続けてきました。ガザも戦闘が絶えることなく、事実上の封鎖状態にありました。ハマスの越境攻撃も、イスラエルがハマスへの圧迫を急速に激化させた結果と言えます。イスラエルの意図が透けて見えます。
ネタニヤフは、大統領を降りれば、汚職裁判によって収監されることは確実とされます。戦争が続く限り、特例措置によってネタニヤフは大統領の座に居座り続けることができます。ネタニヤフは、ハマスの攻撃を誘導し、当座、国際社会に対しては被害者として報復攻撃を認めさせ、扱い易いトランプの大統領就任を見越して地上兵力を投入し、ジェノサイドを始めたようにしか見えません。さらに、世界一優秀なモサドが、事前にハマスの越境攻撃を知らなかったはずはありません。むしろ、それを行わせるための工作をしていたのではないか、とさえ思います。つまり、ネタニヤフは、自国民の犠牲を前提に戦争状態を作り出し、ジェノサイドによって国民を納得させるねらいがあったのではないでしょうか。もはや、ユダヤ人にホロコーストを語る資格はありません。
本作は、ヴェネツイア国際映画祭で、銀獅子賞(審査員大賞)を受賞するなど、高い評価を得ています。監督のカウテール・ベン・ハニアはチュニジア出身です。彼女は、アカデミー賞でも、国際長編賞、ドキュメンタリー部門でノミネートされた経験を持ちます。本作で驚かされたことの一つは、製作総指揮に、著名映画人が名前を連ねていることです。ブラッド・ピット、ホアキン・フェニックス、ルーニー・マーラ、ジョナサン・グレイザー、アルフォンソ・キュアロン、スパイク・リー、そしてマイケル・ムーアという面々です。経緯は、よく分かりませんが、イスラエルのジェノサイドに抗議する人々であることは間違いないと思います。ヒンド・ラジャブ事件によって、世界中からイスラエル批判が巻き起こりました。しかし、ネタニヤフは歯牙にもかけません。なぜならトランプをコントロールできるからです。そして、今年2月、ネタニヤフとトランプは、突如、イラン攻撃を開始するわけです。ちなみに、10月27日に行われたイスラエルの総選挙で与党は過半数を獲得できませんでした。(写真出典:eiga.com)
