畳は、日本独自の文化です。ゴザや筵の類いは、中国や韓国にもありますが、畳は日本にしかありません。畳は、畳床、畳表、畳縁で構成されます。畳床は、伝統的に稲わらを圧縮して芯材とします。稲わら床は、吸湿性、放湿性に優れているとされます。ただ、重いのが難点ともいえます。近年登場したスタイロフォームを芯材とする畳床は、軽さや断熱性で優れますが、吸放湿性が弱いとされます。木材チップを主原料とする芯材もありますが、化学素材の芯材に比べ、重くなります。ただ、断熱性や吸放湿性には優れているようです。以上を組み合わせるタイプもあるようです。畳床の寿命は10~20年と言われますが、メンテナンスが良ければ40~50年もつこともあるようです。もちろん、畳表は、適宜、張り替える必要があります。
畳表は、縦糸に綿糸や麻糸を用い、稲わらよりも細いイ草を織り込んで作ります。他に和紙や化学繊維で作る畳表もあるようです。畳表だけをゴザとして使うこともあります。畳縁(たたみべり)は、畳の長辺に縫い付ける細い布です。畳の角の補強や隙間を埋めるために縫い付けられます。畳は、統一された規格という合理性、あるいは組み合わせて使う自在性も特徴的だと思います。畳のサイズは、京間、江戸間、琉球畳など数種類ありますが、規格が統一されていることで日本建築のサイズの基準にもなっているわけです。これが千年以上前から存在するのですから、誇るべき日本文化の一つだと思います。ただ、その歴史は判然としません。少なくとも、現在のものに近い最古の畳は正倉院の「御床畳」とされます。
当時は、天皇や貴族が寝具として使っていたようです。”畳む”という文字からしても、寝る際に敷いていた筵から進化したものと想像できます。寝具や座具として使っていた畳が、部屋全体に敷かれるようになったのは、室町期に発展した武家の書院造からだとされます。座敷という言葉もここで生まれるわけです。書院は、書斎兼居間を指しますが、来客の多かった武家では、接客、儀式の場へと変化し。家の中心になっていったようです。来客の人数も多ければ、いちいち座具として畳を敷くのも面倒で全体に畳を敷き詰める座敷へと変化したのでしょう。畳のサイズは、寝具・座具の名残だと思われます。ただ、武家では戦に際し、甲冑を身に纏って土足で家の中を行き来することもありました。その際、簡単に片付けられる畳のサイズは便利だった面もあるのでしょう。また、メンテナンスという面からみても、畳のサイズは合理性があるように思います。
畳自体の自在性もさることながら、座敷の多様性も見事なものです。一つの座敷が、書斎、客間、ダイニング、寝室に対応できるわけですから、実に効率的です。これも畳が生んだ文化なのでしょう。西洋式に、ソファ、ダイニング・テーブル、ベッドを置けば、その部屋の用途は限定されます。現代の日本は、なんて効率の悪い間取りを選択したのだろうとさえ思います。余談ですが、たまに行く温泉宿では、畳の部屋で食事をし、布団を敷いて眠ります。椅子の生活が長くなったこと、そして老化とともに足腰が弱っていることもあり、畳から立ち上がることがしんどくなりました。知らず知らずのうちに、温泉宿でもベッドの部屋を選択している今日この頃です。(写真出典:tatamiweb.com)
