マンダロリアンとボバ・フェットに登場したグローグーは、ヨーダと同じ種族の幼児であり、ベイビー・ヨーダとも呼ばれます。未熟ながら強いフォースを持っています。スピンオフ系では最も人気のあるキャラクターだと思います。人気はグローグーに負けるとしても、スピンオフ系のなかで最も優れた作品はアンドーだと思います。スター・ウォーズ第1作となった「エピソード4/新たなる希望」は、ルーク・スカイウォーカーが、入手した設計図をもとに、反乱軍とともに銀河帝国のデス・スターを破壊するまでが描かれています。ローグ・ワンは、ジン・アーソとキャシアン・アンド-が命を懸けてデス・スターの設計図を盗むまでの物語であり、アンド-は、さらにその前日譚として、キャシアン・アンド-が革命家になっていく過程が語られます。
アンド-の魅力は、キャシアン・アンド-の地味で人間臭いキャラクター設定にあるのではないかと思います。スター・ウォーズに登場する人物たちは、当然のことながら、エッジの効いた、いわば漫画的なキャラクターばかりです。そのなかにあって、キャシアン・アンド-は、まるでLAを舞台とする警察ものの主人公のようでもあります。運動能力も高く、飲込みも早いのですが、フォースにはまったく無縁。素っ気ない見かけですが根はやさしく、現代人のように悩み、人を愛します。アンド-という作品が持つ政治的な今日性ゆえに、このようなキャラクター設定が行われ、派手さには欠けるディエゴ・ルナがキャスティングされたのでしょう。アンド-は、その政治性の高さにおいて、シリーズ中、最もユニークな作品かもしれません。
キャシアン・アンド-は、ローグ・ワンのラストで壮絶な最期を遂げています。これもキャシアン・アンド-らしくていいと思います。死んだので、これ以上、キャシアン・アンド-を主人公とする作品が作られることはないと思われます。異色作アンド-は、それでよいのだと思います。余談ですが、ジョージ・ルーカスが黒澤明ファンであることから、スター・ウォーズでは、結構、日本の文化や言葉が使われています。アンド-も、実は“安藤”なのではないかと思い、調べてみましたが、よく分かりませんでした。もし、安藤にインスパイアされたのだとすれば、どこの安藤なのか気になるところです。少なくとも安藤百福ではないと思うのですが。(写真出典:imdb.com)