コロナ禍で、本割は人数制限、巡業も限定的という期間が長引くなか、ようやく出口が見えてきたので、ここで一気に人気回復をねらったイベント開催だったのでしょう。相撲協会は、お金持ちとして有名なので、コロナくらいではビクともしないのでしょうが、さすがに減収も3年続くと痛いはずです。さて、感謝デーの開催内容ですが、愚にもつかない高校の学園祭レベルのものであり、行きたいとも思いませんでした。ただ、ファン・クラブの有料会員には、招待券が送られてきました。また、有料会員限定で、国技館の支度部屋などバックヤード見学もさせるというので、のこのこ出かけました。
悪天候のなか、平日にもかかわらず、国技館は、結構、ごった返していました。様々なイベントには目もくれず、まっすぐバックヤードに向かいました。普段、入れないところに入るというだけで、特段の感慨も感想もありませんでした。もう一つだけ狙っていたのが「相撲部屋ちゃんこぐらんぷり」です。そのために昼飯を抜いて出かけたのですが、なんと大人気で、受付は既に締め切ったとのこと。がっかりでした。コロナ前の相撲観戦時には、国技館の地下で担当部屋が出す500円のちゃんこを食べ、観戦後には、「巴潟」で、絶品の塩ちゃんこを食べながら相撲談義に花を咲かせるのが恒例でした。
力士の食事全般を、ちゃんこと言いますが、特にちゃんこ鍋は定番中の定番。様々な味付けと具材が楽しめます。ちゃんこ鍋の代表的なスープは、ソップ炊き、水炊き、味噌炊き、塩炊きの4種ですが、なんでもちゃんこ鍋になるので、部屋によって特色もあります。伝統のソップ炊きとは、鶏ガラスープでとった出汁であり、スープがなまった呼び名だとされます。鶏は、良質なたんぱく源であるだけでなく、二本足で手を着かないことから、力士にとっては縁起が良いとされます。具材は、なんでもいいのですが、力士のスタミナ確保、健康維持を考え、定番の鶏団子等に加え、野菜が多く入ります。
多くの具材を大きな鍋で炊けば、様々な出汁が出て、うまいに決まっています。ちゃんこ鍋は、味と具材が変わるので、毎日でも食べられるわけです。ちゃんこという妙な名称の起源には諸説ありますが、炊事当番の古参力士を、父親を意味する”ちゃん”と呼んだことに始まるという説、また大鍋料理を中国鍋と称したことからきているという説もあります。ちゃんこ鍋を食べると太るという誤解があるようです。ちゃんこ鍋は、栄養バランスの良い健康的な食事です。力士の体が大きくなるのは、激しい朝稽古の直後に、大量の食事を摂り、昼寝をするからです。(写真出典:moranbong.co.jp)