2022年9月8日木曜日

ジェットコースター

かつて、戸塚の奥に「横浜ドリームランド」という大規模遊園地がありました。1964年に、日本のディズニーランドを目指すとして開園されました。大人気だったものの、アクセスの悪さから、次第に客足が遠のき、2002年には閉園されています。大船駅と結ぶモノレールが敷設されましたが、技術的問題で運行休止。アクセスは、バスと自家用車に限定されますが、近隣の宅地開発が急速に進んだこともあり、ひどい渋滞が起こります。その間に、本物のディズニーランドがオープンしたり、他の遊園地、テーマパークが多く開園したこともあり、経営は悪化し、閉園となりました。跡地は、大学や公園になているようです。

横浜ドリームランドには、当時としては最新鋭の絶叫マシーンが揃っていました。80年代の初めに、一度だけ行きましたが、ジェットコースターでは首が痛くなり、バイキングは実に不快でした。それ以降、その類いには、一切、乗らなくなりました。実は、これ、ドリームランドのせいではなく、私の年齢的問題によるものでした。つまり、不思議なことに、年齢とともに、絶叫マシーンが苦手になっていく傾向があるわけです。子供に、ジェットコースターをせがまれた時には困りました。ディズニーランドのビッグ・サンダー・マウンテン、花屋敷のジェットコースターくらいなら付き合えますが、絶叫系は地獄なので、拒否しました。

年齢とともに、絶叫マシーンが苦手になる理由には、いくつかの説があるようです。一つは、防衛本能です。要するに、年齢を重ねると、経験や知識が増すことで、リスクに対する認識が高まり、防衛本能が働くという説です。また、若年期にも防衛本能はあるものの、好奇心が、それを上回るという話もあります。こうした心理学的アプローチに加え、三半規管の平衡感覚と視覚情報のズレがストレス・ホルモンの分泌を促すことに関係するという説明もあります。いわゆる乗り物酔いの原因となる話ですが、加齢とともに、三半規管の敏捷性が失われ、感覚のズレが大きくなるというわけです。これは、ややピンとこない話です。

例えば、自動車の場合、運転手は乗り物酔いを起こすことはありません。平衡感覚と視覚情報にズレが生じにくいからです。ならば、目を閉じて視覚を情報を遮断すればいいようにも思います。ただ、視覚以外の感覚と平衡感覚のズレが生じること、そして視覚情報が無いことによる不安感がストレス・ホルモンの分泌を促すという現象が起きるようです。要するに、年齢の高い人がジェットコースターに乗ると、過剰な防衛反応から、目を閉じる、安全バーを強く握る等することによって、より感覚のズレを生じやすく、かつ経験の少なさから生じる不安感がストレス・ホルモンをより多く分泌するということなのでしょう。

絶叫マシーンには、身長制限があります。安全バーなど設備上の問題から制限しているのでしょう。加えて、近年は、ものによって60歳、65歳以上お断りという制限もあるようです。法律に基づくものではなく、施設独自のルールだそうです。医学的根拠もないのだろうと想像します。恐らく、高齢者による何らかのトラブルが発生する傾向があり、施設側に責任がないとしても、苦情や訴訟リスクを回避するために行っていることなのでしょう。オウン・リスクであることを明示すれば事足りるようにも思え、やや自己防衛に過ぎるようにも思えます。ただ、老人の苦情やトラブルの処理には、時間も労力もかかりますから、理解できる処置のようにも思えます。(写真出典:gigazine.net)

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