私は、自分でキムチチゲを作って、楽しんでいます。レシピは、NY時代、韓国の保険会社の駐在員から教わりました。まずは、乳酸発酵させた古漬けのキムチを調達する必要があります。キムチ専門店でお願いすると、ほぼ間違いなく出してくれます。私は、近所の美味しい韓国料理店の自家製キムチを寝かせて古漬けにします。日本製のキムチの多くは乳酸発酵させていなので、キムチチゲには適しません。容器に発酵食品と記載があれば、大丈夫です。キムチは、赤いところが無くなるまで水洗いをし、乳酸菌だけを残すイメージです。それに豚肉、コチュジャン、日本味噌、すりおろしたニンニク、唐辛子、ごま油を加え、練り込むように混ぜます。それをごま油で炒めていきます。
愛情を込めて、炒めれば、炒めるほど美味しくなると教わりました。そこにコムタン・スープを注ぎ、煮込みます。牛骨などで作るコムタン・スープは、スーパーで濃縮されたタイプ等を買えます。他の、例えば海鮮スープでもいい味になりますが、コムタンが、一番合うように思います。少し煮込んだら、ニラ、生卵を乗せて完成です。材料さえ揃えば、簡単に作れます。最も大事な炒め工程は、忍耐が求められます。日本の韓国料理店では、いきなりキムチを鍋で煮込むレシピが多いようです。それでも美味しいと思いますが、しっかり炒めた方が、コクが出るように思います。また、ニラは、細かく切った方が、いい出汁を出してくれます。
韓国の食文化を代表するキムチですが、現在の形になったのは18世紀以降と言われます。唐辛子は、16世紀、日本からもたらせられます。白菜は、品種改良によって生み出された野菜ですが、現在の形は18世紀に誕生しています。韓国のキムチ最大の特徴は、乳酸発酵だと思います。アミ、イカ、イシモチ、イワシ等の塩辛を入れることで、発酵させています。これが独特の深い味のベースになっています。さらに魚介類や肉の出汁、あるいは果物を入れる場合もあり、味付けは実に多様です。韓国文化に深く根ざしたキムチですが、近年、家庭で漬ける人が減り、また消費自体も減ってきていると言います。さらに驚くべきは、韓国の飲食店で無料で提供されるキムチの9割が、安価な中国産になっているとことです。
2006年、米国の健康雑誌が発表した世界の健康食品ベスト5には、スペインのオリーブ・オイル、ギリシャのヨーグルト、日本の大豆、インドのレンズ豆と並び、韓国のキムチが挙げられているそうです。韓国人の粘り強さ、肌の美しさ等は、キムチのおかげと言われます。納得できます。この冬も、キムチチゲを楽しもうと思います。ただ、問題は、キムチチゲを作ると、翌日まで、家中が韓国料理店の匂いになることです。(写真出典:amazon.co.jp)