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タンカレー・ジン |
神戸という街は、そういうことをやりたくなる街です。外に出ると、夜景がグルグル回り、ほぼ四つん這いでホテルに戻りました。何に勝ったわけでもないのですが、少なくとも強い酒には大負けしていました。昔から、ジン・トニックが好きで、どこでも飲んできました。特段のこだわりもないのですが、最近、美味しいと思うのは、ボビーズのジンに、ウィルキンソンのトニック・ウォーター、少しだけライム・ジュースを入れたものです。ボビーズは、オランダのロッテルダム近郊のスキーダムで作られています。まだ新しいジンですが、なかなか評価が高く、オレンジ・スライスとクローブを入れたジン・トニックがお勧めとのこと。まだ、試したことはありませんが、きっと美味しいだろうな、と思います。
ジンは、大麦、ライ麦等から作る蒸留酒で、ジュニパー・ベリーで香り付けされます。ジュニパー・ベリーは、セイヨウネズという針葉樹の果実だそうです。既に11世紀頃には、イタリアの修道士がジュニパー・ベリーでスピリッツを作っていたという記録があるようです。現在につながるジンの発祥は、17世紀、オランダのライデン大学の医学部教授であったフランシスクス・シルヴィウスが作った解熱・利尿用薬用酒だとされます。ただ、当時のオランダでは、各種のフレイバーを付けたスピリッツが薬局で売られており、既にジンも売られていたとも言われます。いずれにしても、ジンは、オランダから始まったということです。
1689年、オランダ総督・オラニエ公ウィリアム3世が、名誉革命でイングランド国王になった際、ジンはイングランドに持ち込まれました。18世紀、イギリスで産業革命が起こると、労働者階級が生まれ、都市にはスラム街が生まれます。安くて、度数の高いジンは、労働者階級用の安酒になっていき、まっとうな人間の飲み物とは認められなかったと言います。それを変えたのが、チャールズ・タンカレーでした。今も続くタンカレーの創業者です。独自の製法で蒸留されたタンカレーの高級なジンは、徐々に上流階級にも認められ、20世紀に入ると、カクテル・ベースの代表格としても一般化していきました。近年では、クラフト・ジンが世界的なブームとなっており、日本でも数多く作られています。上述のボビーズも、その一つです。
銀座1丁目の「BAR オーパ銀座」は、名バーテンダーと言われる大槻健二氏の店です。店名のオーパは、当然、開高健の名作にちなんでいます。多くのバーテンダーを輩出していることでも有名な店です。ジン・トニックにライム・ジュースを入れるレシピは、この店で覚えました。いまだに、オーパに行けば、ジン・トニックに始まり、ジン・トニックに終わります。(写真出典:seijoishii.com)