小学生の頃、お茶好きの伯母から、お茶の特訓を受けたことがあります。産地、製法、入れ方による味の違いを叩き込まれました。伯母に言わせれば、お茶は一生飲むものだから、しっかりと覚えておきなさい、ということでした。さすがに興味もなかったので、ほとんど味は覚えていません。ただ、「どうせなら、将来、お茶の入れ方の上手なお嫁さんを貰いなさい。それで人生の楽しみが大きく変わるのだから」という伯母の言葉だけは印象に残りました。嫁さんの件は別としても、確かに伯母の言うとおり、これまでの人生で、実に大量のお茶を毎日飲んできたな、と思います。
私の一日は、豆を挽き、コーヒーを入れることから始まります。朝食後には煎茶、午前にミルク・ティー、昼食後にコーヒー、午後にミルク・ティー、夕食後はほうじ茶。これが基本パターンですが、ハーブ・ティー、チャイ、そして烏龍茶も常備してあります。昔、烏龍茶にハマったことがありましたが、ここ1~2年、台湾烏龍茶に魅せられています。数年前、台北で茶芸を楽しんだ時には、美味しいとは思いましたが、ハマることはありませんでした。一昨年、コレド室町テラスに、台湾で人気の誠品生活が進出し、書店や雑貨店等とともに、1862年創業という台北の老舗”王徳傳茶荘”がティー・ルームを開きました。これが、実にいいのです。ハマりました。
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阿里山茶畑 |
日本や中国のお茶の多くは緑茶です。茶葉を蒸して揉んで作られますが、加熱することで発酵を止めています。対して烏龍茶は、発酵させます。完全に発酵させると紅茶になりますが、途中で加熱して発酵を止めるところが特徴です。産地、品種、発酵の程度によって異なる茶葉ができますので、烏龍茶の種類は多く、約800種と言われます。台湾を代表する四大銘茶と言われるのが、凍頂烏龍茶、東方美人茶、文山包種茶、木柵鐵觀音茶です。それぞれ産地も製法も異なりますが、なかでも東方美人茶の製法は独特です。稲の害虫ウンカに食べさせるこで独特な甘さを引き出すという高発酵茶です。
王徳傳では、もちろん茶葉も売っていますが、私は買いません。希少価値の高い茶葉は、お値段も高いということに加え、家でおいしく入れることが難しいからです。ティー・ルームで美味しくいただくのが一番だと思っています。中国茶は、緑茶、白茶、黄茶、黒茶、青茶、紅茶、花茶の7つに分類されるそうです。青茶に分類される烏龍茶の最高峰は、福建省武夷山で取れる武夷岩茶「大紅袍」だとされます。年間、わずか400gしか取れず、本物が市場に出回ることはないとまで言われます。記録としては、20gが250万円で取引されたことがあるそうです。(写真出典:saiyu.co.jp)