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Fried Sushi Roll |
海外の寿司屋は、おおむね韓国人か中国人が経営し、日本の寿司とは随分異なる代物が出されます。当然ながら、これは本当の寿司ではないと言いたくなります。ただ、考えてみると、日本でも、日本人が、日本にしかないような中華、フレンチ、イタリアン等々を提供しています。しかも、我々は、それを美味しいといって食べています。そう考えれば、世界各地の地元料理のローカル化を一概に否定することもできないのでしょう。料理は、各地の風土の中から生まれますが、異なる文化が交じり合い、新たな伝統料理ができた例も数知れずあります。
数年前、新潟の人気寿司店で、シャリが結構温かい寿司を食べました。違和感を感じました。江戸前のにぎりなら、シャリは人肌と言います。それは人肌と炊き立ての間くらいでした。ご一緒した新潟の人は、これが普通だと言っていました。そもそも新潟の寿司には多少の違和感を持っていました。ネタは申し分ないのですが、粒の小さいコシヒカリのシャリはふんわり感に欠け、米自慢ゆえか酢の効きが弱いのです。要は、おにぎりっぽいのです。温かいまま握るのは、コシヒカリのシャリにふんわり感を出すための工夫なのかも知れません。
そこで、トルコ人から聞いたホット・スシを思い出し、ネットで調べてみました。なんと、海外でホット・スシは定番。温かいシャリはもちろんのこと、ネタが温かかったり、ロール・スシそのものをベイクしたり揚げたりと、実に多様なホット・スシがありました。しかも、それを食べた日本人が、おしなべて、意外と美味しかったと言っているのです。まったく食べようとは思いません。ただし、それを寿司だと思わなければ、印象も異なります。例えば、シャリとチーズをサーモンで巻いたロール・スシなど、ベイクすれば美味しいのではないか、と思えます。
これも古い話ですが、NYで、アメリカ人から「東京のイタリアンはまずい」と言われました。どこで食べたのか聞くと、どうも青山のサバティーニらしいのです。本店は、ローマのトラステベーレにあります。一度ローマ本店でも食べたことがあります。東京店は、さすがに本店とは多少違いますが、まずまず美味しい本場の味と言えます。一方、彼の基準はNYのイタリアンです。これもまたNY独特のイタリアンであって、ローマの味ではありません。ま、それはそれでいいのでしょう。(写真出典:jp.freepic.com)