2020年9月6日日曜日

チュロとチョコラーテ

スペインの伝統的な朝食と言えば、チュロとチョコラーテ。いわゆるチュロスとホット・チョコレートです。朝には和食が多い私にとっては、かなり違和感があります。スペインのチュロは、砂糖をまぶしていません。要は揚げパンです。バルセロナでは、飲んだ後の締めはチュロが定番。チュロテリアは24時間営業が多いそうです。チュロは、スペインの羊飼いたちの簡易パンが発祥と、スペイン人は言います。中国の油条がポルトガル経由で広まったという説もあります。

一方、チョコラーテの氏素性は明確です。カカオは、3000年以上前からオルメカの人々が栽培し、飲料としてきました。16世紀、コルテスがアステカからスペインにカカオを持ち帰ります。スペインの貴族たちが、門外不出の飲料として楽しんでいたようです。その後、欧州に広がったホット・チョコレートは、19世紀に大きな進化を見せます。一つは、オランダのヴァン・ホーテンによるココア・パウダーの生産、そして英国のジョゼフ・フライによる固形チョコレートの開発です。

固形チョコレートの登場によって、従来の飲料タイプは、ホット・チョコレートと呼ばれるようになります。同時に、ホット・チョコレートの作り方も変わります。大雑把に言えば二つの方法に分かれます。ミルクに固形チョコレートを混ぜるスタイルは、ホット・チョレートと呼ばれることが多く、欧州に多く見られます。今一つは、ミルクとココア・パウダーを混ぜるもので、ホット・ココアと言われます。ホット・チョコレートは、概ね、ドロッとした濃さが特徴です。フィレンツエのシニョーリ広場に面したホット・チョコレートの名店リヴォワールも濃さが特徴。ほぼ溶けた固形チョコレート。

世界的なチョコレートの消費量は増えているようですが、大きな問題を二つ抱えています。一つは児童労働問題を含むフェア・トレードの問題。様々な取り組みがなされていますが、状況を変えるまでには至っていません。今一つは、地球温暖化に伴う生産量の減少です。すでにコスタリカの輸出量は96%減少しています。2050年にはカカオは絶滅危惧種になるという予想もあります。

そんな状況下、京都のショコラティエ「ダリ・K」の取り組みは注目に値します。インドネシアのスラウェシ島で、生産指導から始め、品質の高いカカオを適正な価格で買い取ります。そして、豆からチョコレートまでの工程をすべて自社内で行い、品質の高いチョコレートを作っています。まさにウィンウィンの関係と言えます。
真出典:oggi,jp

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