こんな話が、 世界中の港にあったのだろうと思います。 昔から、船乗りは、海にまつわる多くの伝説を共有してきました。最も有名なものはフライング・ダッチマンの幽霊船かも知れません、また、セント・エルモス・ファイヤーのように科学的に解明されたものもあります。ことに巨大な化け物系クラーケンやリヴァイアサンの類いは大人気。俺は見た、 という狂人には事欠かなかったと思います。
実は、彼らは、だたの狂人ではなく、確かに尋常ならざるものに遭遇していたのではないか、と思うのです。それは、化け物ではなく、巨大な波、フリーク・ウェーブだったのではないでしょうか。木造帆船、航海技術も航海機器も不十分だった時代、数十メートルの波に出会えば、即刻沈没だったと思います。生存者などあり得ません。ただ、何人か、奇跡的に生還した場合もあったはずです。命からがら港に戻った彼らは、俺は見た!と叫び、狂人扱いされたわけです。

大昔から世界中の港町で狂人扱いされた老船乗りたちに言ってあげたいものです。あんたは、間違っていない! 狂人なんかじゃない!
北海で撮影された25mの波 写真出典:the maritime executive