2020年5月4日月曜日

バテレン

世界三大宗教の信者数は、キリスト教24億、イスラム教17億、ヒンドゥー教10億。キリスト教徒が多いのは、植民地の展開という歴史的経緯もあります。日本のキリスト教徒は100万人程度。植民地化されたことのない国とは言え、随分少ないと思います。すでに神道という信仰があり、仏教という宗教があったから、とも言えますが、私たちは、そこまで熱心な仏教徒とも言えません。

キリスト教が、日本で信者を拡大するチャンスは、三度あったと思います。まずは、16世紀、フランシスコ・ザビエルの来日です。プロテスタントの追い上げを受けるカトリックは、信者の獲得に加え、免罪符に代わる財源を求め、東へ向かいます。ザビエルの使命は信者数の確保、大名たちの狙いは南蛮貿易。利害が一致し、信者は数万人まで増えます。しかし、便宜的に信者になったものが大層を占めたと思われます。真の布教はこれからという時、秀吉によるバテレン追放、家康による禁教令で、第一幕は終わりをつげます。

第二幕は、明治維新です。禁教令は解かれ、多くの宣教師も来日します。彼らは、欧米文化の伝達に大きな役割を果たしました。また、今に続くミッション系の学校も、この時期、多く設立されています。ただ、天皇の神格化を進め、国の統一をはからんとする薩長の政策は、布教上の大きな壁だったはずです。

第三幕は、戦後ということになります。過去最大のチャンスだったはずです、事実、信者は3倍に増えたようですが、それでも100万人。理由は判然としません。創価学会はじめ日蓮宗系の伸びに負けたという説もあります。創価学会員は、公称800万世帯。学会が世帯、キリスト教は個人への布教だったことが大きな違いを生んだのかも知れません。

一神教が日本に浸透しない最大の理由は、日本の災害の多さにあると思います。自然は、豊かな恵みとともに、度重なる災害をもたらします。唯一神が、神羅万象のすべてを司るとすれば、災害大国で神を理解することは、かなり難しくなります。仏教は、先祖崇拝とのマッチ、国の政策的展開などで一般化しますが、表層的であったと言えます。ただ、釈迦の無常観は、文句なしに日本人の心に響くものでした。
写真出典:Wikipedia

マクア渓谷