ギター、ピアノ、ベースというトリオ編成もいい味を出しています。ジャズのエッセンスとも言える演奏ですが、やはり白人っぽい淡泊さを感じさせます。スウィングのギターなら、なんと言ってもチャーリー・クリスチャンがベストだと思います。 チャーリー・クリスチャンは、ジャズにエレクトリック・ギターを持ち込んだ最初のギタリストであり、ギターを単なるリズム楽器からソロ楽器に変えた人とされています。スウィンギーなだけでなく、音に豊かな表情とブルーズを感じさせます。登場間もないエレクトリック・ギターだったわけですが、既にその特性をよく心得ていたように思います。1939年、23歳でスウィングの王様ベニー・グッドマンのバンドに参加し、当時としては目新しかった楽器とともにその名を轟かせました。残念なことに、25歳のおり、結核で亡くなっています。
エレクトリック・ギターの試作は、1910年代には始まっていたようです。ビッグ・バンドの流行とともに、ギタリストは大きな音が必要になり、奏者たちが自ら試行錯誤しました。当初は、単純にアコースティック・ギターにマイクを付けて音を拾う方式を試していたようです。今につながる電磁式のピックアップが登場したのは、1931年です。アドルフ・リッケンバッカーとジョージ・ボーチャムが発明しています。商品化された最初のエレクトリック・ギターは、リッケンバッカー・エレクトロA-22、通称「フライパン」であり、当時のハワイアン・ブームを背景に開発されたラップ・スティール・ギター、いわゆる横置きのハワイアン・ギターでした。エレクトリック・ギターは瞬く間に人気となり、ギブソンはじめ多くの製造業者が誕生します。
その後、エレクトリック・ギターは、楽器としても、奏法としても進化していくことになりますが、機器としての最も大きな変化はエフェクターの登場だったと思われます。エフェクターは、1940年代後半には試作されていたようですが、一般化する契機となったのはボー・ディドリーのデビュー曲「ボー・ディドリー」だったとされます。ボー・ディドリーが使ったのはトレモロ効果をかけるフロア・タイプのエフェクターでした。60年代に入るとトランジスタを使ったエフェクターが登場し、なかでも倍音を強調するファズは、ローリング・ストーンズのキース・リチャードが「サティスファクション」で使ったことから大ブームとなります。時は、まさにギター・ブルースの時代を迎えており、各種エフェクターが大流行していきます。
ジミヘン、エリック・クラプトンといったギター・ブルース時代のギタリスト達の源流は、ハウリン・ウルフ・バンドのヒューバート・サムリンだと言われます。南部の黒人に言わせれば、ジミヘンなどサムリンのギターの音量を上げただけということになります。ヒューバート・サムリンは、ロバート・ジョンソン以降続いたブルース・ギターの伝統を、より自由なものへと変化させ、主役の座に据えていきました。ブルースだけでなく、ロック・ギターの源流でもあります。ジャズの世界では、多くの名手が生まれていますが、奏法に大きな変革をもたらしたのはウェス・モンゴメリーだと思います。オクターブ奏法やコード演奏を用いることで、単音・早引きのスタイルをよりモダンで深みのある世界へと変えました。(写真出典:ja.wikipedia.org)