2022年7月18日月曜日

サウナ

近年、サウナが空前のブームに入っているようです。古参サウナ・ファンとしては、同慶の至りといったところです。このブームは、第3次ブームとも言われます。第1次ブームは、1960年代後半に始まり、70年代初めのオイル・ショックとともに終わっています。64年の東京オリンピックの際、フィンランド選手団が選手村にサウナを持ち込んだことがきっかけになったようです。当時、家庭内の風呂の増加とともに劣勢となった銭湯が、サウナを設置して起死回生を図ったという背景もあるようです。一旦、ブームはピークアウトしたとは言え、確実にサウナ・ファンは増えており、各地にサウナ施設はしぶとく残っていました。

私が、サウナに通い始めたのは80年代半ばからですが、サウナ施設は多くはなかったものの、探すのに苦労はありませんでした。決して安くはありませんでしたが、仕事の疲れが解消されるような気がして、よく使いました。1990年代、バブル崩壊とともに、第2次ブームが起こります。いわゆる“安・近・短”と言われた手近な行楽が人気となり、スーパー銭湯や日帰り温泉といった温浴施設がブームとなります。スーパー銭湯は、単なる銭湯ではなく、大型施設のなかに、趣向を凝らした多くの湯船、レストラン、休憩室、理髪店、マッサージ店等があります。そして、サウナも、必須と言える設備だったわけです。

一方で、サウナ専用施設は、若干、減少したように思います。スーパー銭湯が増え、サウナはじめ、その他の設備も安価に利用できるわけですから、当然の流れでした。ただ、サウナ・ファンが増えたとも、減ったとも言いかねる状態が続いたと言えます。それが、ここのところの第3次ブームで、サウナ専用施設も増え、自宅や野外用のサウナ設備まで売れるようになりました。”ととのう”、”サ道”、”ロウリュウ”、”熱波師”などと言った言葉が、頻繁にマスコミに登場しています。健康指向の高まりの一環なのかも知れませんが、どうも何がブームのきっかけになったのか分かりません。一つ言えることは、若いファンがブームを支えているということです。サウナに馴染みの薄かった若者たちが、その魅力を発見したということなのでしょう。

サウナは、フィンランド発祥と言われますが、蒸し風呂自体は、古代から世界中に存在していました。むしろ、風呂と言えば蒸し風呂が永らく主流だったとも言えます。近年、日本を含め、多くの国で、サウナと言えばフィンランド式サウナが大半を占めていることも事実です。フィンランド式とは、ストーブの上に石を積み重ね、サウナ室を熱します。その石に水をかけて水蒸気を発生させるロウリュウも特徴の一つです。設備に加え、サウナから出て、水風呂などで急速に体を冷やすこともフィンランド式です。サウナの効用は、血行促進につきます。副次的効果としては、代謝促進や気分転換もあります。つまり、その効用は、温浴と同じです。ただ、天然温泉は別として、大量のお湯を準備するより効率的だと言えるのでしょう。フィンランドなど北極圏では、なおさらと言えます。

サウナと温浴の効果は同じだとしても、受ける印象は相当に違います。一番の違いは、汗のかき方だと思います。温浴では、穏やかに体を温めていきますが、サウナでは、入った途端に大量の汗が噴き出します。強制的に汗を排出することで、体中の悪いものが押し出されるような印象を受けます。いわゆるデトックス効果です。さらに水風呂が体を引き締めるような印象もあります。これがサウナの醍醐味と言えます。ただ、科学的には、デトックス効果も引き締め効果も、ほぼゼロだと聞きます。それが事実であれば、血行促進以外のサウナの効用は、気分的なものだということになります。つまり”ととのう”ことこそが、サウナの醍醐味だというわけです。(写真出典:myvirtualworldtrip.com)

マクア渓谷