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日間賀島西港のタコ |
名古屋に赴任早々、日間賀島の民宿が経営する市内の”晴快荘”で、初めて日間賀のタコを食べました。柔らかくて、味が濃いので感動しました。日間賀島のタコは、なぜか柔らかいと言われます。恐らく茹で方にも技があるのだと思います。さらに一匹まるごと茹でて、客がハサミで切って食べるというスタイルにも驚きました。その印象が強かったので、日間賀島へ行きたいと思っていたわけです。ただ、冬場のお目当ては、タコだけではありません。トラフグです。一泊二食、ふぐづくしで2万円を切るというお値段にも驚きました。食卓には、てっちり、てっさ、唐揚げが並び、そのうえまるごとの茹でタコ、伊勢エビの刺身なども並びます。すっかり気に入り、名古屋を離任後にも、何度か行きました。
実は、愛知県のトラフグの水揚げは全国ナンバー・ワンです。かつては、知名度もなく、名古屋での消費も少なく、獲れたふぐは下関へ送られていたようです。ところが、1990年代の後半、九州近海でのトラフグの不漁が話題になると、地産地消の動きが始まったようです。いまや日間賀島は、タコとふぐの島です。ただ、残念ながら、全国区とまではいっていないように思います。日間賀島のふぐづくしで、私が最も気に入っているのは、ひれ酒です。銀座のひれ酒と言えば、ひれの先の方だけが上品に入っています。日間賀島では、まるごとのひれで、身の一部まで付いています。とても濃い出汁が出て、ほぼふぐのスープ状態です。聞けば、あらも入れた鍋で燗をつけて出しているようです。なるほどです。
日間賀島は、三河湾と伊勢湾が交わるところに位置し、とても良い漁場として知られています。伊勢湾には木曽三川、三河湾にも多くの河川が流れ込み、栄養豊かな海が形成されています。日間賀島の魚は、奈良時代の文献にも登場しているようです。東京ドーム半分程度という小さな島ですが、30基を超える古墳も確認されていると言います。ただ、タコとふぐ以外に観光資源があるわけではありません。釣りでもすれば別ですが、民宿でひたすら宴会という島になります。いきおい翌日はゴルフか、やきものの街・常滑あたりで観光ということになります。ちなみに常滑も好きな街です。古い窯元や小さな店が並ぶやきものの道、あるいはINAXのライブ・ミュージアムも楽しめます。
南知多の海水浴場が、半島の西側、伊勢湾沿いに多いこともあり、名鉄知多新線は、西側を走ります。それも内海まで。名鉄河和線も河和が終点であり、師崎までは、どうしても車が必要になります。河和からも日間賀島への船はありますが、やはり全国から客を呼ぶにはアクセスに難があります。もちろん、晴快荘はじめ、名古屋市内で、日間賀のふぐやタコを味わうことはできますが、やはり日間賀島まで足を伸ばしたいところです。(写真出典:nissho-apn.co.jp)