2021年8月28日土曜日

ワイルド・スピード

大人気のワイルド・スピード・シリーズ最新作「ジェット・ブレイク」を観てきました。9作目になるようです。もちろん、アカデミー賞をねらうような映画ではなく、B級アクション映画ですが、毎回、工夫を凝らしたカー・アクションは退屈させません。結果的には、これまでの全作品を見ていますが、実は、映画館で観るのは初めてでした。私にとって、ワイルド・・スピードは、飛行機の中で観る映画の定番です。従って、途中で気絶したり、食事しながらと、しっかり見たことがありません。大したストーリーでもないので、派手なアクションだけ見れば十分という、暇潰しには最適な作品です。

ワイルド・スピード大成功の要因は、カー・アクションのすごさもありますが、一番は、ターゲットを絞り切ったことだと思います。アメリカには、改造車、セクシーな若い女性、切れのいい音楽、 ビールのシックスパックが全てという種族が多く存在します。決して若者に限った話でもありません。若者の車離れが進む日本とは大違いです。映画には、毎回、マニアが泣いて喜ぶような改造車が登場します。ドライブ・テクニックもすごいのですが、マニアならずとも興奮するのは、エンジン音だと思います。本当にクルマが好きな人たちが作っている映画だな、と思います。

カー・アクションの原点とされる映画は、ピーター・イエーツ監督、スティーブ・マックイーン主演の「ブリット」です。 刑事役のマックイーンが乗るフォード・マスタングGTと犯人の乗るダッチ・チャージャーが、サンフランシスコの坂道で繰り広げるカー・アクションは、迫力といい、尺の長さといい、画期的でした。随分、興奮させられたものです。「ブリット」でも、回転数やギア・チェンジで変わるリアルで迫力あるエンジン音は、強く印象に残りました。全体的に、セリフも音楽も抑え気味の映画の中で、エンジン音は主役級の扱いでした。「ブリット」以来、カー・アクションで、エンジン音は、極めて重要な要素となりました。

2001年にスタートしたシリーズの3作目までは、まさにマニア向けのストリート・レース映画でした。4作目は、さらに幅広いターゲットを狙った娯楽映画へと変わり、大ヒットします。5作目以降は、制作費も大幅に増額され、まさに大型娯楽映画となります。シリーズものらしく、主人公ドムの家族、仲間たちといったおなじみの顔が揃い、ヘレン・ミレンやカーディーBといったゲストも登場します。アメリカ映画定番の楽屋落ちのセリフもあり、アメリカの映画館なら大歓声間違いなしです。ありとあらゆるアクションを試してきたシリーズですが、今回投入された新手のアクションのあと「これ初めてだっけ?」というセリフがあり、思わず吹き出しました。よく心得た演出です。

ワイルド・スピードのテーマは「家族愛」だと言われます。もちろん、カー・アクションが目玉の映画ですが、縦糸は欠かせません。そこに家族を持ってくるあたりは、実うまいと思います。世界中の人々が共感できるテーマだからです。それも、くど過ぎず、安っぽ過ぎず、いい塩梅の演出になっており、アメリカ映画らしくていいと思います。今後、シリーズは、10、11作目を撮って完結と発表されています。終わり時も、いい塩梅だと思います。写真出典:screenonline.jp)

マクア渓谷