2021年7月15日木曜日

EGGO

「EGGO サラダ・ドレッシング」の存在を知ったのは、最近のことです。友人から、沖縄土産として、1本もらい、感動しました。聞けば、永らく沖縄で愛されるソウル・フードの一つで、沖縄でマヨネーズと言えば、EGGOだと言います。沖縄は好きで、何度も行っていますが、まったく知りませんでした。アメリカのマヨネーズ、例えば、定番の”HELLMANN’S”等は、キューピーより酸味が少なくマイルドです。EGGOは、HELLMANN’Sのマヨネーズよりも酸味と甘味が強くなっています。HELLMANN’Sの商品名は”リアル・マヨネーズ”ですが、EGGOは”サラダ・ドレッシング”となっています。要は、マヨネーズそのものではなく、マヨネーズの加工品という意味なのでしょう。

この酸味と甘味が絶妙で、卵サンドイッチやポテト・サラダ等は、材料にEGGOを混ぜるだけで、絶品ものができます。他に調味料はいりません。EGGOとトマト・ケチャップを、1対1で混ぜたものが、沖縄の定番ドレッシングだとも聞きました。言われてみれば、沖縄でよく見かけるような気がします。サウザン・アイランド・ドレッシングだとばかり思っていましたが、実はEGGOとケチャップを混ぜただけだったわけです。さすがにコールスローの場合には、レモン汁やマスタード等を加えますが、味が決まりやすい気がします。いずれにしても、EGGOをもらってから、卵サンドとポテト・サラダをよく作るようになりました。

沖縄におけるEGGOの歴史ははっきりしませんが、 間違いなく戦後の米軍統治下で広まったものでしょう。 当時は、 圧倒的国内シェアを誇るキューピーも沖縄には参入できなかったわけです。また、キューピーがアメリカ人好みの味ではなかったことも関係しているかも知れません。実は、EGGOはカナダで生産されています。なぜ、アメリカのHELLMANN’Sではなかったのかは、興味深いところです。ネットで見る限り、理由は不明です。恐らく、米軍の指定マヨネーズはHELLMANN’Sだったと思いますが、一時的な品薄等の理由で、代用品としてのEGGOが輸入されたのでしょう。HELLMANN’Sの入荷が再開されると、余ったEGGOが市中に流出し、その酸味と甘味が、沖縄の人々を虜にしたということなのでしょう。

この春、そのEGGOが、市場から消えるという事件が起きました。ネットで簡単に買えていたものが、押しなべて、売り切れ、入荷予定なし、となりました。沖縄のスーパーでも、銀座のわしたショップでも、棚から消えたと言います。ネットでは、生産中止か、輸入停止かと騒ぎになっていました。沖縄県民にとっては、ソウル・フードだけに、死活問題でした。実際に、起きていたことは、北米からの輸送船の手配がうまくいかず、一時的な品薄状態が生じていたようです。そんな状態が、 2〜3ヶ月も続いたでしょうか、 今は在庫も十分あるようです。沖縄以外にもEGGOファンは広がっており、 恐らく販売量は増えているものと思われます。 是非とも、 安定的供給をお願いしたいところです。 

琉球の歴史を思えば、心が痛むところがあります。ただ、中国や大和の文化を取り入れ、独自の文化を築いてきた歴史でもあります。同様に、いまだに続く米軍基地の問題はあるものの、一方で、アメリカ文化を取り入れてきた面もあります。食文化では、スパム、コンビーフ、タコス、ステーキ、英国製ながらアメリカ人の好きなA-1ソース等々があげられ、EGGOも、 その一つということになります。EGGOの独特な酸味と甘味は、チャンプルー文化が発見した味なのかも知れません。(写真出典:pinterest.jp)

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