そもそもゴルフ場は、世界の209カ国に32,471コースあります(2019R&A調べ)。その半数にあたる14,640がアメリカにあり、次いでカナダの2,265、日本の2,227、英国の1,936と続きます。競技人口は、世界で6,300~6,500万人おり、バスケットボール、サッカー、クリケットに次ぐ第4位ながら、減少傾向が続き、ゴルフ・コースも減っているようです。そのなかで、ベスト100コースのトップに輝き続けてるのは、NJ州のパイン・ヴァレーです。フィラデルフィア近郊にあり、1913年に創設されたプライベート・コースです。「18の個性的で美しいチャレンジ」とも形容されるそうです。設計者は、ジョージ・クランプですが、完成前に亡くなったため、仕上げたのは、チャールズ・アリソンだったそうです。
アリソン・バンカーと呼ばれる深いバンカーで有名なチャールズ・アリソンは、1930年に来日し、東京ゴルフ倶楽部朝霞コース(閉場)、藤沢カントリー倶楽部(閉場)、川奈ホテル富士コース、廣野ゴルフ倶楽部を設計しています。20~21年版の世界のベスト100コースに入った日本のコースは2つ。廣野が39位、川奈が56位と、いずれもアリソン設計のコースです。他にも、霞ヶ関カンツリー倶楽部東コース、鳴尾ゴルフ倶楽部、茨木カンツリー倶楽部東コースの監修や改造にも関わりました。日本を代表するゴルフ・コース設計者と言えば、霞が関、日光、大洗、茨木等で知られる井上誠一です。井上は、来日中のアリソンに出会ったことで、コース設計者を目指します。井上は、アリソンが図面を書いた霞ヶ関カンツリー倶楽部東コースの改造に参加することで、徹底的にアリソンを研究し、後のコース設計に活かしたと言われます。
神戸の廣野ゴルフ倶楽部では、仕事の関係で何度かプレイしました。1932年開場のコースは、日本最高のコースとして有名ですが、厳密にメンバー同伴を求めていることもあり、なかなかプレイできません。英国風の古いクラブハウスは趣があり、自分で量を決めるチャーハンとカレーのハーフ&ハーフは昼食の名物であり、プレー後の歓談の際には、神戸牛の網焼きが有名です。私の好物は、ヘレかつサンドです。日本一美味しいカツサンドだと思います。一度、併設された博物館を見せてもらいました。興味深い展示が多く、もっと多くの人に見せるべきだと思いました。コースは、よく手入れされた美しい公園を、我々だけで散歩しているような風情です。アンジュエーション、砲台グリーン等、私のような素人にはなかなか厳しいコースですが、最も恐ろしいのは、広大なウェスト・エリアとアリソン・バンカーです。ま、本家本元のアリソン・バンカーですから、来場したら、是非とも楽しむべきだとは思います。
ゲストとして廣野でプレーすると、キャディバッグに金メッキの来場記念タグをつけてくれます。わざわざ外すまでもないので、いつもキャディバッグに5~6個くらいつけていました。すると、別のコースでご一緒した方々数人から、貰えませんか、と言われたことがあります。もちろん、差し上げました。聞けば、ネット・オークションでは千円以上する人気アイテムなのだそうです。特にご婦人方は、バッグに付けるのがおしゃれなのだそうです。プレイしたこともないのに、そんなものをぶら下げる気持ちが、よく分かりませんでした。(写真 川奈のアリソン・バンカー 出典:pargolf.co.jp)