2021年3月27日土曜日

オーパーツ

”黄金のスペース・シャトル”
オーパーツ(out-of-place artifacts)は、発見された場所や時代とはそぐわないと考えられる人工品のことです。未確認飛行物体(UFO)、未確認動物(UMA)、超常現象等の研究家アイヴァン・サンダーソンが、1960年代半ばに命名したとされます。オーパーツ・ブームの先駆けとなったのは、サンダーソンが紹介した「黄金のスペースシャトル」です。コロンビアの古代遺跡から発掘された手のひらサイズの装飾品ですが、三角翼・垂直尾翼らしきものが付いた形状から、航空機の一種ではないかとされました。科学者から、航空力学にかなっているとのお墨付きもあり、また発掘場所がナスカの地上絵に近いこともあり、宇宙人がプレ・インカ文明発生に関与していたという人気の説につながりました。

細部の異なる同様のデザインの出土品も多く、今ではナマズの一種プレコを模した装飾品という認識が一般的です。また、7世紀マヤのパカル大王の石棺の蓋には、ロケットを操縦しているかのような王が描かれています。スターウォーズのスピーダー・バイクのようなものに、王がまたがっている様は、まさに驚きです。マヤ・インカと宇宙人との関わりを証明するオーパーツとして有名です。これは横にした場合、そう見えるということであり、本来は縦に描かれたものであり、生命の樹の下に横たわる王を描いたものであることが知られています。オーパーツの一つの典型が、こうした近代の発明品によく似た出土物です。単なる偶然がほとんどです。

また、デリーのアショカ・ピラーも有名です。1500年間、雨ざらしになっているにも関わらず、一切錆びていない鉄柱です。デリー郊外のイスラム遺構クトゥブ・ミナール敷地内にあります。私も見ました。観光客で賑わう世界遺産のなかで、この鉄柱に反応しているのは、私一人でした。錆びない理由は、製造過程でリン鉱が残り、コーティングの役割を果たしているからだそうです。4~5世紀に作られたコスタリカの石球群も世界遺産ですが、なかに完全な球体に近いものがあり、その技術力があり得ないとしてオーパーツだとされます。ただ、時間を掛ければ、当時の技術でもこのような球体を作ることが可能であることが証明されています。このように、不思議とされたことが、科学的に不思議ではないことが証明されたオーパーツも多くあります。

私が最も好きなオーパーツは、アンティキティラ島の機械です。NYで、この復元品を見た時には、本当に驚きました。1901年、アンティキティラ島の沈没船で発見されています。紀元前3~1世紀の作成と確認されています。外箱、歯車の一部やハンドルが欠損していますが、かなり完全に近い形を保っています。数十におよぶ大小の歯車が複雑に絡み合っており、技術レベルは、千年も先を行っているとされました。その後、調査研究が続けられ、現在では、天体の位置を予測するためのアナログ天文計算機もしくは太陽系儀だとされています。天体の動きに関する知識は、シュメールに始まり、当時、かなり高いレベルまで蓄積されていました。また、機械に関しても、アルキメデスの各種発明が示すとおり、高い水準にありました。実に優れた機械とは言え、その時、その場所にあっても当然だったわけです。

私も何度か目撃しましたが、UFOに関しては物的証拠がありません。UMAも、足跡といった不確かな証拠しかありません。オーパーツは、現物があるので、白黒が付けやすい面があります。オーパーツと称されるものの中には、多くの偽物が混じっています。例えば、オーパーツの代表のように言われていたアステカの水晶製の髑髏は、近代の作であることが証明されています。オーパーツが、いかに大きなロマンであり、多くの人を惹きつているか、ということの証左でもあります。(写真出典:w.atwiki.jp)

マクア渓谷