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ロジャー・フェデラー |
日本で最大の収入規模を誇るプロ・スポーツは、プロ野球で、2,000億円程度。ついで、サッカーのJ リーグが、約半分の1,100億円となります。 アメリカの四大プロ・スポーツでは、 アメリカン・フットボールのNFLが1.5兆円、 野球のMLBが1.1兆円、バスケットボールのNBAが0.8兆円、アイスホッケーのNHLが0.5兆円となっています。ヨーロッパでは、イングランドのサッカー、プレミア・リーグがダントツで、約0.7兆円。他国のサッカー・リーグは、その半分程度となります。いずれにしても日本とは随分違う規模となっています。違いを生んでいるのは動員する観客数ではないと言われます。国際展開するTVの放映権とスポンサー契約による収入の差が大きいわけです。
TVの放映料は、視聴率、ないしは視聴者数で決まります。アメリカン・フットボールは、いわばアメリカの国技であり、試合数が少ないこともあり、常に高い視聴率を誇ります。加えて、スーパー・ボウルは、もはや国民的祭典の様相を呈しています。その視聴率は40%を超え、視聴者数は約1億人、CMの出稿料は30秒一本で5.5億円であり世界一高額と言われます。ハーフ・タイム・ショーは、ビッグネームが出演し、常に注目の的ですし、専用に作成されるCMコンテンツも話題になります。NFLにとっても、スポンサーにとっても、まさに金のなる木と言えます。
対して野球のワールド・シリーズの視聴率は平均して8%程度。今年は、コロナ禍の影響から5%と散々だったようです。日本シリーズですら、初戦12%でした。レギュラー・シーズンも含め、日米とも、プロ野球の視聴率低下傾向は続いていると言えます。プロ野球の視聴率を改善するためには、野球人気の回復に努めることですが、他にもできることはりあそうな気がします。例えば、試合時間が長いこともネックになっているで、試合のテンポを改善することも一案です。お勧めしたいのは、地上波での放送日を、例えば水・金・日だけに完全固定し、固定客の視聴率をしっかり確保することです。例えば、NFLのマンディ・フットボールは国民に定着しています。
ジョン・スポールストラのベスト・セラー「エスキモーに氷を売る」(2000)は、CRMのお手本のような本でした。全米最弱、経営破綻寸前のバスケットボール・チームの経営を任されたスポールストラは、1年で、全米屈指の高収益チームを作り上げます。スター選手を獲得すれば話は簡単ですが、そんなお金はありません。そこで、これまで試合に来てくれたファンに、もう1枚だけ多くチケットを買ってもらう作戦を展開したのです。いわゆる「1対5の法則」です。新規顧客の獲得コストは、既存顧客の維持コストの5倍になる、というものです。リピーター戦略であり、リテンション・マーケティングとも呼ばれます。(写真出典:forbes.com)