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オイミャコンの冬 |
オイミャコンは、シベリア北東部、北極圏からわずか南に位置し、永久凍土の上にある村です。1年の半分以上が冬で、年間平均気温はー15°、1月の平均気温はー50°という信じがたい土地です。とは言え、短い夏もあり、最高気温は30°を越すこともあるとのこと。永久凍土ながら温泉があり、真冬でも水が確保できることから、もともとツングースの人々に知られた場所だったようです。人が住み始めたのは金の採掘のためでした。人間の欲深さには驚かされます。
作物の栽培は無理なので、人は肉や魚、夏の間に摘んだ野イチゴを食べています。もの皆すべて瞬間冷凍されるので、肉や魚は新鮮なままだと言います。冬の北海道でも似たような現象はありますが、素手で金属にさわるとくっついて離れなくなります。外での眼鏡も厳禁。洗濯物は外に干します。即刻、布の水分が凍り付くので、表面の氷を取れば、乾いているとのこと。自動車もありますが、もちろん特別仕様。エンジンに直接バーナーを当てて暖め、スタートさせます。一度エンジンをかけたら、決して切ってはいけないわけです。
そんな過酷な土地ですが、長寿でも知られているとのこと。要は、寒すぎて、ウィルスも細菌も生存できないと言われています。通常、寒くなり乾燥すると、ウィルスの表面の水分も失われ、浮遊しやすくなります。人間も、乾燥で気道の繊毛機能が低下すること等からウィルスを取り込みやすくなります。ウィルスは、高温で死滅しますが、低温には強く-70°でも数年間生きるそうです。ですから、寒くてウィルスが死ぬのではなく、食品は加熱して食べ、外で皮膚を露出することも無く、口も常にマスクで覆われているので、感染しにくい環境にあるということだと思います。
大学時代の友人が士別の出身でした。士別は、旭川と美深町の中間に位置し、同じく極寒の地です。正月休みで帰省していた彼が札幌に戻った時、札幌は暖かいな、と言い、皆を驚かせます。札幌も、連日、最低気温がー10°以下でしたが、士別はー30°の日々だったらしいのです。その時、私は、初めて極寒地での冷蔵庫の使い方を知りました。要は、食品を凍らせないために冷蔵庫に入れると言うのです。また、ウィスキーが凍る温度はー25°前後らしいのですが、士別では凍るわけです。彼が言うには、士別では、オン・ザ・ロックではなく、イン・ザ・ロックが飲める。確かに。(写真出典:travelerstoday.com)