フットボールの起源は諸説ありますが、現代のサッカーやラグビーにつながるボールゲームは中世のヨーロッパから始まったようです。文献上の初出は、10世紀、ネンニウスがウェールズで書いた「ブリテン人の歴史」と言われます。恐らくそれ以前からボール遊びは存在していたのでしょう。ローマが持ち込んだという説もあるようです。中世のフットボールは、村や町の祭りとして、数千人単位で行われていました。ルールらしきルールもなかったとされます。その当時のフットボールを偲ばせるのが、今でも行われているフィレンツエのカルチョ・フィオレンティナです。ボールは使いますが、ほぼ格闘技です。
19世紀になると、フットボールは英国のカレッジやプレップ・スクールで盛んになり、ケンブリッジからルール化が始まります。他にもルールが作られていったため、統一を図るべく、1863年にフットボール・アソシエーションが設立されます。その際、ルールの統一に関する議論のなかで、ボールを持って運ぶこと、脛を蹴ることが禁止されます。それに反対した一部が離脱、現在のラグビーへとつながります。その際、オフサイドについても統一ルールが定められます。
それ以前のオフサイド・ルールは、前方へのパス禁止だったようです。これはラグビーに受け継がれているわけです。1863年の会議では、前方へのパスが認められ、その代わり3人制オフサイドが導入されます。パスを受ける攻撃側の選手よりゴールライン側に守備側の選手が3人いれば前方にパスをしていいというものです。その後、1925年に至り、現在の2人制、つまりパスを受ける攻撃側選手よりキーパーと守備側選手1名以上がゴールライン側にいればパスできる、と変わりました。
以上は、あくまでも基本形。実際のゲームでは、常に選手たちは動いているので、実に様々なケースが生まれます。待ち伏せはいけないという理念はいいのですが、あらゆるケースをルール化すると、おそろしく複雑なものになります。日本には法の趣旨という考え方がありますが、欧米はあくまでも明文法が基本。書かれているものだけがルールになるので、複雑化します。「女は理解できない」どころか、選手ですら全てを理解しているとは思えません。(写真出典:ja.wikipedia.org)