2020年9月24日木曜日

ミスティック・シーポート


ニューイングランドの秋は格別です。ひんやりと澄んだ空気、紅葉、落葉、祭りへの期待。I87やI95といったハイウェイを北に走ると、広大な森の紅葉が広がります。所々、村の教会の白い尖塔も見えます。正直、落葉を掃除することは大変ですが、秋を感じます。感謝祭からクリスマスまでのホリディ・シーズンはまだ先ですが、ハロウィーンもあり、祭りの前のざわめきを感じ始めます。

コネチカット州の東端、ロード・アイランド州との州境近くに、ミスティック・シーポートがあります。ミスティック・リバーが、ロングアイランド海峡に注ぐ、美しい入り江沿いの町です。古くは原住民ピーコット族が住み、ミスティックという素敵な名前も、ピーコットの言葉で、水が波で押し流される大きな川を意味します。18世紀以降は、帆船の造船拠点として栄えたようですが、大型船の時代になると役割を終え、静かな美しい村だけが残りました。


今は、ニューイングランドを代表する観光地になっています。人口4千人という小さな町ですが、シロイルカで有名な水族館、全米有数と言われる海洋博物館、開拓時代の村を模したショッピング・モール、ヨット・ハーバー等があります。しかし最大の魅力は、その美しい景色です。穏やかなミスティック・リバーも、川港に帆船が並ぶ光景もとても穏やかです。川越しに見る紅葉のなかに点在するコロニアル様式の家々はとても美しく、画家ならずとも絵筆を取りたくなります。

海洋博物館には、捕鯨船チャールズ・W・モーガン号はじめ歴史的木造船が停泊し、再現された造船所では、木造船の製作デモンストレーションも行われます。博物館のコレクションは、各種木造船はじめ、開拓時代の海や生活に関わる道具、独立戦争時の遺物等があります。お決まりですが、ミュージアム・ショップ等には、お土産品の他に、ヨット用品も含む船舶関係の品物も多くあります。そこで購入した、帆船の甲板に埋め込み、船内に光を取り込んだプリズムのレプリカは、今も私の宝物です。

秋から初冬にかけては、ぽかぽかと暖かい日もあります。アメリカ人は、インディアン・サマーと呼びます。インディアン・サマーの日、ニューイングランドの紅葉は、一段と引き立ちます。アメリカ人に、なぜインディアン・サマーと呼ぶのかと聞くと、多くの人がインディアンの逆襲のように夏が秋を攻めてるからじゃないか、と答えます。そうではありません。ただ、原住民に対する罪悪感が感じられて、面白いと思いました。(ミスティック・シーポートの秋 写真出典:seeysticct.com)

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