例えば、アメリカのコーラは、日本のものより軽い印象があります。それは、ジャンク・フードとの相性を計算したフレイバーと炭酸濃度なのだと思います。アメリカの脂っこいジャンク・フードに、コークは実によく合います。例えて言うなら、和食の味噌汁です。それが売り上げを伸ばしてきた秘けつなのだと思います。喉が乾いたら飲むくらいでは世界一にならないわけです。コークは、アメリカのジャンク・フードと手を携え、世界を征服していったわけです。
19世紀末に誕生したコークが躍進した理由は多くあります。まずはボトリングを挙げるべきでしょう。アメリカのソーダ類は、薬用としてスタートしたため、薬局のソーダ・ファウンテインでグラス売りされていました。それをボトル売りにすることで、いつでも、どこでも飲めるようにしました。ボトルの形状もブランディング効果抜群でした。コークの代名詞とも言えるコンツアー・ボトルは1915年に誕生。目指したのは、暗闇でも、割れてもコークだと分かるボトルだったそうです。

コークは、一度、味を変えています。70年代後半からペプシの大攻勢を受け、首位から陥落したコカ・コーラ社は、85年に味を変えたニュー・コークを発売、巻き返しを図ります。結果は、ブーイングの嵐。 大失敗でした。わずか2ヵ月半で元の味に戻します。ところが、この大惨事が、マーケティング的には良い効果を生み、首位に返り咲きます。何という幸運。マーケの世界では伝説となっています。
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