
対して欧州は、狭くて曲がりくねり山坂も多い道、石油は輸入が多く安くないこと、公共交通が発達していること等、燃費で劣るAT車には不向きと言えます。ただ、それ以上に、自動車に対する認識の違いが大きいように思えます。要は、馬車の長い歴史を持つ欧州人にとって、自動車は単なる自走馬車なのだと思います。日常的に長時間運転することもないので、イージードライブや快適でラグジュアリーな車内なども必要ないのです。単なる道具ですから、頻繁に新車に乗り換えることもありません。もちろん、貴族向けのスポーツカーや高級車も発達したわけですが、ごく一部の話です。
日本は、環境的には欧州に近いと思います。事実、1985年時点、オートマ車は半数に満たなかったのです。では、なぜオートマの国になったのか。日本の自動車輸出は、80年代に入り、アメリカ向け、つまりオートマ車を中心に大幅に拡大。輸出比率は半数を超えます。自動車メーカーとしては、国内向けにもオートマ車の生産を拡大することが、コストダウンにつながります。日本のオートマ化はメーカーの戦略だったように思えます。
アメ車のコラムシフト 写真出典:car-moby.jp