2020年8月1日土曜日

ダルフール

オマル・アル=バシール
民族浄化として世界の非難を浴びたスーダンのダルフール紛争は、2019年、独裁者オマル・アル=バシールがクーデターで失脚し、収束したと報道されていました。ところが、最近、ダルフールで新たな虐殺が起こっていると言います。難民化していた非アラブ系住民が村に戻ると、不在の間にアラブ系住民が住みついており、そこで争いが再燃しているようです。アラブ系住民は、かつて中国から供給された大量の武器をまだ保有しているようです。

スーダンの西部ダルフールでは、古くから、非アラブ系=農耕民とアラブ系=遊牧民による土地と水を巡る争いが続いてきました。1956年、スーダンが独立した直後からアラブ系政府と非アラブ系との争いが始まります。停戦期間もあり、2003年には包括和平協定も結ばれましたが、争いは終りませんでした。特徴的には、スーダンの石油が欲しい中国、加えてロシアやイランが、アル=バシール政権を支持し、武器の供給等を行っていたこと。そして政府がアラブ系民兵ジャンジャウィードに大量の武器を供給し、政府の手先としていたこと。虐殺は、中国製最新武器によって行われたわけです。30万人以上が殺害され、200万人以上が難民化したと言われます。

国際社会も手をこまねいていたわけではありません。例えば、 国連も様々な対応を行います。 経済制裁も行われます。アフリカ連合と共同で平和維持軍も派遣されます。国際刑事裁判所も、アル=バシールに対し、虐殺に関与したとして逮捕状を出しています。ただ、肝心なところで、  中国とロシアが拒否権を発動するわけです。当然、中国も批判されます。 北京オリンピックをボイコットする動きもありました。世界の文化人からも抗議活動が起こりました。有名な話としては、スティーブン・スピルバーグが、抗議のため、北京オリンピックの芸術顧問を降りています。

ややこしくなりますが、スーダン内戦自体は、政府と南スーダンとの戦いであり、2011年、南スーダンは独立を勝ち取っています。南スーダンは油田を持っていることから、しっかり中国が入り込んでいます。このころから、サブ・サハラは、巨額の経済支援、融資をテコに中国が浸透、いまや中国の独壇場と化しています。
写真出典:wikipedia

マクア渓谷