
ホベルタ・サーは、ブラジル北東部ナタウの生まれ。最も早くヨーロッパ人が到達し、、かつアフリカの影響も濃い地域です。ホベルタは、アメリカ留学後、2004年、24歳でデビュー。サンバを現代的でポップに表現するサンバ・ノヴァの旗手として注目されます。その後、ゴールド・ディスクを2枚獲得するなど高い人気を誇り、2016年のリオ・デ・ジャネイロ・オリンピックの閉会式でも歌っています。近年のアルバムは、サンバよりは、MPBと呼ばれるポップ系の色が濃くなっているように思います。
2016年、ブラジルは国をあげてサンバ100周年を祝いました。1916年のドンガの「ペロ・テレフォーニ」が最初のサンバとされているようですが、サンバという言葉の初出は19世紀前半、音楽としては18世紀からバイーア辺りで黒人奴隷が楽しんでいたようです。いずれにせよ、西アフリカの音楽と欧州のダンス音楽が出会い、サンバは生まれたわけです。サンバは、実に多様な音楽であり、アフリカ色の強いものから、ボサノヴァまで、サブ・ジャンルは裕に100を超えると言われます。また、ポルトガル語は、西洋音階に最も馴染む言語とも言われ、サンバには、名曲、名手が目白押しです。
ショーロは、19世紀のリオで生まれたギター、カヴァキーニョ等弦楽器を中心とする音楽。即興演奏を行うので、ブラジルのジャズとも言われますが、ジャズよりも百年早く生まれています。むしろ、ジャズはアメリカのショーロと言うべきなのでしょう。天才ジャコ・ドゥ・バンドリンの「カリオカの夜」等が有名です。ショーロの演奏家は、とにかく名人揃い。人口2億のブラジルでは、音楽がビッグ・ビジネス。名のある音楽家は、半端ない実力者ばかりです。
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