実は、70年代、世界のサッカー界に君臨した皇帝ことフランツ・ベッケンバウアーの言葉でした。ディフェンダーながら、ゲームを組み立て、攻撃の起点となっていくリベロ・システムを確立したと言われます。冷静沈着、静かながら強いリーダーシップ、貴公子のようなプレイ・スタイルから皇帝と呼ばれました。

オランダには、それができるヨハン・クライフがいたわけです。試合前のオッズは、圧倒的にオランダ優位。それほどトータル・フットボールが機能していたわけです。試合開始早々、オランダはPKで得点します。ただ、気持ちに緩みが生じ、必死に戦う西ドイツに逆転を許します。以降、徹底的にマークされたクライフは身動きが取れず、ゲームを失います。
地元開催のプレッシャーからか、苦戦のすえ決勝進出した西ドイツは、見事に下馬評を覆しました。そして、試合後、ベッケンバウアーの名言が飛び出したわけです。実は、この時、クライフも見事な言葉を残しています。「いくら技術に優れていても、上には勝者がいる。」世界を極めた両雄の相呼応する言葉は、スポーツの素晴らしさと厳しさを見事に伝えています。
1974年ワールドカップ決勝 ヨハン・クライフ(左)とフランツ・ベッケンバウアー 出典:jiji.com