性差別の根源は、家父長制度にあると言われます。狩猟採取の時代は、母権社会だったようです。乳幼児の死亡率が高かったこともあり、種の保存を担う女性がリーダーシップを取っていたのでしょう。農耕が始まると、種の保存は農業生産次第となります。土地と労働力が生産財として重要になり、所有権が生まれます。農耕の担い手が男であったこと、農耕と共に拡大した戦争の担い手も男であったことから、所有権は男に与えられたのでしょう。
古代ローマが制度化する以前から、家父長制は自然発生的に存在していたと思われます。差別は、おおよそ為政者の都合で作られると考えますが、性差別は、生物的役割区分や生存の前提の変化もあり、やや微妙です。ただ、明確に為政者が作り出した性差別も多数存在します。その一つが、第二次大戦後、米国で行われた「専業主婦作戦」だと考えます。
戦争が総力戦化すると、男性は戦場へ、生産は女性が担うという構図ができます。ところが、戦争が終わると、一千万人の若い男性が復員兵として国内に戻ります。国には、彼らの仕事、住まい、そして結婚相手を準備する必要が生じます。仕事は、既に女性が多くを占めています。大口雇用先は都市部に集中しますが、一千万人を一度に受け入れられるほど都市に住宅はありません。結婚相手たる女性は、皆、忙しく仕事をしていました。

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