2020年7月27日月曜日

オートミール

私は、食べ物に好き嫌いがありません。何でも食べます。ただ、まずいものを好んで食べるほど酔狂でもありません。なかに、ちょっとしたトラウマになっているまずいものもあります。その一つがオートミールです。食べろ、と言われれば食べますが、できれば食べたくない代物です。中学生の頃と記憶しますが、アメリカ出張から戻った父親が、以降、我が家の朝食はオートミールにする、と宣言。とても健康に良い、アメリカ人は、皆、食べている、というわけです。地獄でした。幸いなことに、父親は、月の半分は出張で家にいなったものですから、地獄も半分で済みました。クエーカー・オーツの缶に描かれたクエーカー教徒を見ると、今でも嫌な気分になります。

近年は、健康食品ブームで、オート(燕麦)も人気があり、果物、ナッツ、糖分等を加えたグラノーラやミューズリー、あるいはフスマを原料とするオートブランも売れているようです。食物繊維、ミネラルを多く含み、コレステロール、血糖値、血圧を下げると言われます。ただ、オートミールを食べる人が増えたという話は聞きません。NYに駐在していた頃、アメリカ人に聞きましたが、オートミールは、子供の頃、食べさせられたという話ばかりでした。やはり、みんな嫌いなわけです。

それもそのはず、古代ローマ以降、19世紀まで、オートは馬の飼料でした。食用にしていたのは、スコットランドくらいと言われます。寒冷地や荒れ地等、厳しい環境でも育つオートは優秀な穀物です。ただ、グルテンを含まないので、パンにはできません。オートミールにするしかないわけです。19世紀になると品種改良が進んだこと、アメリカで押麦の技術が開発されたこと等から食品化が進みます。ヘンリー・クローウェルがクエーカー・オーツを創業しオートミールが普及、ジョン・ハーヴェイ・ケロッグがグラノーラを発明しシリアルが普及しました。

昔から青汁は健康に良いとされてきましたが、まずい代物でした。ところが、最近の青汁は、飲みやすいどころかうまいのです。私も、毎朝、飲んでいます。恐らく、最近のオートミールもおいしくなっているのでしょう。試してみようかとも思いますが、クエーカー教徒の顔を見ると、ついつい目を背けてしまいます。

マクア渓谷