事件の半月ほど前、PFLPは、テルアビブ空港で、ハイジャックしたサベナ機の乗客を人質に、仲間の解放を要求します。しかし、交渉を拒否したイスラエルによって制圧されます。PFLPは、その報復として、空港襲撃を計画しますが、パレスティナ人では警戒されます。日本人なら怪しまれないので、義勇軍として合流していた日本赤軍に実行を依頼しました。
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日本赤軍最高指導者 重信房子 |
日本赤軍によるテルアビブ空港襲撃事件は、その後の世界に二つの大きな流れを生み出します。一つは、空港のセキュリティ強化。今一つは、アラブ過激派による自爆テロです。それまでの主な闘争手段はハイジャックでした。イスラムでも自殺は認められていません。しかし、死を前提とした日本赤軍のテロに強く影響されたアラブ過激派は、ジハード(聖戦)の論理を持ち込みます。ジハードの戦死者は天国で安楽な生活を送れるというクルアーンの一節が持ち出されます。ジハードは、公式に選出された宗教指導者ムフティーの宣言によってのみ成立します。自称ムフティーたちのジハード宣言で天国の門が開くことはありません。
写真出典:sankei.com