アルバム名:Palo Congo(57) アーティスト:サブー・マルティネス
大ヒット映画「ブエナビスタ・ソシアル・クラブ」のなかで、ピアノのルーベン・ゴンサーレスが、プロとして始めて参加した楽団のリーダーについて「盲目のギタリストで、大男だった。よく殴られたもんだよ」と語ります。盲目の大男とは、アルセ二オ・ロドリゲス。キューバを代表するギタリストです。

ロドリゲスは商売でやっている白人向けビッグバンドから離れ、サブーは商売でやっているジャズから離れ、二人のルーツであるアフロ・キューバンにどっぷり浸ります。まるで、日ごろの憂さを晴らすかのようにエネルギーがほとばしる怒涛の演奏。ギター、ベース、コンガ、パーカッションにヴォーカルというシンプルな構成ながら、奥深い世界を作っています。延々と続くリフは、もはやブードゥーの秘儀に参加しているかのような気分にさせられます。
キューバのソンは「ブエナビスタ・ソシアル・クラブ」で大人気となったわけですが、とても洗練された音楽です。「Palo Congo」は、そのルーツをはるかに遡った源流。ソンだけではなく、サンバやブルース等、南北アメリカ大陸の音楽の水源でもあるアフリカとアメリカがぶつかった日の音に近いと思います。
写真出典:hmv.co.jp