欧州の植民地支配も同様に、被支配国の国民が一致団結して反抗することを回避する手立てが講じられます。分断した二派が争うように仕向けておけば、支配国への直接的抵抗のリスクは低減できます。さらに少数派を支配層に置けば、必死で多数派を押さえつけに入り、かつ宗主国への依存が決定的となります。第一次大戦後、英仏が中東でとった手法です。例えば、シーア派が多数を占めるイラクには、マッカからスンニー派のハーシム家を連れてきて、王国を建てます。現在に至る中東の混乱は、英仏が作り出したものですが、その統治手法も混乱を生み出す要因となっています。
ポピュリズムの場合、不満を抱える国民に明快な敵を与える手法がとられます。敵が明らかになれば、自派の団結は高まります。天才アドルフ・ヒトラーは、団結を熱狂にまで高めました。ヒトラーは、その都度、上手に敵を作りましたが、最大の敵は、共産主義者とユダヤ人ということになります。国民のあらゆる不満を押し付けました。ヒトラーの才能の本質は、大衆が求めるものを正しく察知し、即座に提供できることだったかも知れません。

ブラジル ボルソナロ大統領 出典:jiji.com