メキシコ領テハスには、多くの米国人が入植していました。メキシコのサンタ・アナ将軍は、大統領に就任すると、憲法を改正し、中央集権国家を目指します。これに反発した米国人入植者との間に武力衝突が勃発し、テキサス革命へとつながります。アラモ砦の戦いは、1836年、砦を守るテキサス分離派の米国人200名弱を、メキシコ兵2000名が包囲し、13日間にわたる激戦の末、殲滅した戦いです。「リメンバー・アラモ!」と訴えたテキサス分離派のサム・ヒューストン将軍はメキシコ軍を破り、テキサスは独立を勝ち取ります。「リメンバー・アラモ」は、その後、国論を戦争へと駆り立てる定番フレーズとなります。米西戦争時には、ハバナ湾で謎の爆発を起こした戦艦メイン号から「リメンバー・ザ・メイン」として、そして太平洋戦争では「リメンバー・パールハーバー」として世論を開戦へと導きます、あまりの定番ぶりに、米国政府が真珠湾奇襲を事前に知っていた、という説の背景にもなっています。
砦の守備隊の中には、全米から駆け付けた義勇兵たちもいました。最も有名なのが、デビー・クロケット。アライグマの帽子にフリンジのついたインディアン服で有名なデビー・クロケットは、テネシー州選出の下院議員でした。しかし、超有名人というわけでもなく、戦闘で目覚ましい活躍をしたというほどでもなく、おそらく「リメンバー・アラモ」の象徴的な犠牲者として祭り上げられたということなのでしょう。
一つ星のテキサス州旗は、テキサス・ローン・スターと呼ばれます。血で勝ち取った独立は、今でもテキサスの誇りです。実は、私も名誉テキサス市民です。ただ、残念なことに、なんちゃって名誉市民です。称号とローン・スター・バッジを授与してくれた某大佐は、さる日系企業の副社長にすぎません。テキサンが、いかにテキサンであることを誇りに思っているか、という話でもあります。
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