ブルース・シンガーのサン・ハウスが、ミシシッピの田舎町で歌っていると、休憩時間に弾かせてくれという若者が現れます。聞くに堪えない演奏で、客が怒ったと言います。サン・ハウスは、お前にブルースは無理だ、止めちまえ、と言って追い出します。2年後、再び若者が現れます。休憩時間に弾かせてくれ、まだ懲りないのか、というやり取りの後、若者が演奏し始めます。ものの数秒で、そこにいた全員が言葉を失ったと言います。まさに聞いたこともないレベルの歌とギターだったわけです。

あの世、という概念は古代エジプトまでさかのぼります。おそらくもっと昔からあったのでしょう。霊界への入り口、あるいは霊界と現世の境、と言われる場所も、世界中にあります。パターンとしては、洞窟、火山の岩場等が典型ですが、十字路も西アフリカ当たりでは人気があるようです。霊界と現世が交差する、ということなのでしょう。十字路で魂を売ったロバート・ジョンソンは、悪魔との約束どおり、若くしてこの世を去ります。浮気相手の旦那に毒をもられる、という、いたって俗っぽい死因ではありますが。
「27クラブ」とは、27歳で命を落としたミュージシャンたちのこと。確かに多いのです。ブライアン・ジョーンズ、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、ジム・モリソン、カート・コバーン等々。そして、列の先頭にはロバート・ジョンソンがいます。
ロバート・ジョンソン 出典:Amazon