2020年5月16日土曜日

Go for Broke!

「Go for Broke!(当たって砕けろ)」は、日系人だけで構成された米国陸軍第442連隊戦闘団のキャッチ・フレーズです。米国陸軍史上、最も多くの勲章を授与された部隊であり、最も死傷率の高い部隊の一つであり、唯一大統領が帰還閲兵を行った部隊です。442部隊は、米国陸軍の誇りであり、それ以上に日本の誇りです。

日米開戦直後、米国は、カリフォルニアの日系移民、ハワイの一部日系移民を収容所に押し込めます。ドイツ系やイタリア系には行わず、日系だけが対象とされたことで、日本は人種差別だと抗議します。その対応策として日系移民の志願兵が募集されます。二世たちは、米国への忠誠を証明し、家族を偏見から守るために、我先と志願します。そしてハワイで組成されたのが日系人部隊442連隊でした。

442部隊は、欧州戦線に投入され、あたかも白人の弾除けがごとく、最前線、最前線へと展開させられます。モチベーションが他の部隊とは大きく異なる442部隊は、次々と敵を破ります。イタリア戦線で快進撃を続けた442部隊は、ローマへ一番乗りというところで停止させられます。白人部隊を一番乗りさせるためでした。テキサス大隊がナチに包囲され、全滅不可避となった時、大統領は442部隊投入を命じます。442部隊は、211名を救うために、216名を失い、600名以上が負傷しながらも、見事、救出に成功しました。

大統領の帰還閲兵を受ける442部隊
442部隊は、突撃を行う際、「バンザイ!」と叫んで突撃したと言います。米国人と認められない米兵が、家族を米国人と認めさせるために、日本語で「バンザイ」と叫びながら死地に飛び込む。なんと理不尽な構図。彼らの心情を思えば、涙を禁じえません。戦後、欧州から帰還した442部隊をトルーマン大統領が閲兵します。その際の大統領の言葉は有名です。「諸君は、敵のみならず、偏見とも戦い、そして勝利した。」

442部隊の活躍と犠牲は、日系移民へのリスペクトを獲得しました。しかし、戦いは終わっていませんでした。日系移民が市民権を得るためには、さらに20年近くの時間を要したのです。
                                            写真出典:米国国立公文書館



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