メンフィスを舞台としたHBOシリーズ「クオーリー」(2016)にハマりました。70年代、メンフィスと聞いただけで、傑作間違いなし。マックス・アラン・コリンズ初期の小説が原作。アメリカの矛盾を詰め込んだ脚本、抑えた演出、渋めの俳優もいいのですが、時代を感じさせる空気感がとても良い。そして、何よりもメンフィス・サウンドをキッチリ絡めている点がうれしい。オーティス・レディングのアルバム「オーティス・ブルー」に至っては、プロットの一つにさえなっています。
メンフィスは音楽の街です。同じテネシー州ナッシュビルは、カントリーのメッカ。対してメンフィスは、ブルーズ、R&B、カントリー、ロックンロールの街です。ゆかりのミュージシャンを挙げれば、キリがありません。ロバート・ジョンソン、W.C.ハンディ、マディ・ウォーターズ、オーティス・レディング、BBキング、アイザック・ヘイズ、そしてエルヴィス・プレスリー。メンフィスがメルティング・ポットである明らかな証拠は、プレスリーとサザン・ソウルにあります。

2012年、スティーブ・クロッパーとドナルド・ダック・ダンの来日ライブに行きました。歳も歳だから、これが聞き納めかもよ、と友人たちを誘い、でかけました。Time is Tight、Green Onionといった懐かしい曲で大盛り上がり。そのライブから2日後、都内のホテルで、ドナルド・ダック・ダンは亡くなりました。
オーティス・レディング 写真出典:amass