中西部には、19世紀中期、北部ヨーロッパからの移民たちが、東部の都市を経由することなく入植しました。いわゆるゲルマン系の人々です。体の大きな人が多く、例えば、男性用の便器なども背が高く、日本人はアウェイ感を感じます。Japan もそうですが、中西部には、変わった名前の町が多くあります。メキシコ、アステカ等、メキシコにちなんだ名前も多く、北部欧州のメキシコに憧れる傾向が、地名に反映されているとのこと。
宗教的には、プロテスタントのカルビン派が多く、他にカソリック、プロテスタントのルター派も多いようです。非常に保守的な土地柄で、例えば、ミズーリ州の車のナンバー・プレートには「Show Me State」と書かれています。話だけじゃダメだ、現物を見せろ(Show Me)というのがミズーリの気風だと言うのです。保守的を通り越して、愚鈍な印象すら受けます。土地の人たちは、農民気質だと言うのですが、欧州北部の厳しい風土のなかで生きてきた歴史、そして宗教的な影響もあるのでしょう。保守性は、連邦政府に対する不信感としても現れます。スイング・ステイト、いわゆる大統領選挙の激戦州も多く、反連邦政府の民兵ミリシアも多く存在します。前回の大統領選では、中西部のラスト・ベルトの票がトランプに流れました。共和党か民主党かという問題ではなく、東部エスタブリッシュメントに対する不満票だったとも言えます。トランプ陣営は、ウィスコンシン、ミシガン、ペンシルベニアが命運を左右すると見ているようです。現状、 世論調査では、 バイデン有利と出ていますが、中西部気質からして世論調査に答えない人たちが多いものと考えられます。民主党も、かくれトランプ支持者を甘く見るべきではありません。
昔、セントルイスの仕事仲間の米人が、NYへ行ったことがないと聞き、驚きました。なぜ、と問えば、NYはアメリカではない、外国へ行きたいとは思わない、とのことでした。実に中西部らしい話だと思います。
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