地元金融機関で、この話をすると、「違うよ。たんす預金があるから家を離れられないんだよ。」と言われました。銀行に預ければ安心じゃないですか、と聞くと「田舎の人は、隣人に、いくら金を持っているかを知られたくないものだ。銀行員は、近所の息子や娘。それが嫌なんだよ。」守秘義務や職業倫理と言っても、通用しないのでしょうね。農村の保守性からすれば、納得できる話です。
日本のたんす預金は、50~80兆円と推定されています。個人の現預金は1,000兆円ですから、結構な規模です。その動機は、金融機関不審、へそくり、脱税等、いずれにしても「人に知られたくない」ということだと思われます。デメリットとしては、盗難、火災、災害、そして利益獲得機会の喪失。東日本大震災では、津波で相当のたんす預金が流出したものとみられます。近年続く豪雨水害でも、かなり流出していることでしょう。

ナルコ・マネーも、ヴェトナムの米ドルも、流通している限りにおいては、なにがしかの富を生みます。しかし、たんす預金はいけません。完全に死んだお金です。
アメリカ人の好む紙幣のゴムバンドロール 写真出典:pixabay