2020年7月5日日曜日

ダビデの星

シナイ山に登ったモーゼは、神から十戒を授かります。神は、この掟を守れば、汝の民は幸福に暮せると約束します。モーゼは「分かった。で、いくら?」と聞きます。驚きながら神は「無料だよ」と答えます。モーゼは「じゃ、全部もらうよ」と答えました。

ジョークの世界では、国や民族がステレオタイプ化され、笑いのタネになります。ポーランド人は間抜けだけど愛すべき人たち、日本人は利己的で集団主義、そしてユダヤ人はがめつい金の亡者というわけです。NYでは、ユダヤ人と同じように差別されている他の民族同士が、ジューイッシュ・ジョークで盛り上がります。まるで共感を得るためのツールかと思うほどです。自分たちよりも下がいるという安心感もあれば、裕福であることへの嫉妬もあり、団結力の強さへの嫌悪感もあるのでしょう。

NYのユダヤ人は、鉛筆一本買うのも、必ずユダヤ人の文房具屋から買う。ユダヤ人社会に入ってきたお金を、ユダヤ人社会のなかでだけ流通させ、他へ出さない。するとユダヤ人の商売はうまく回転し、各業界の大物になるほど成功する。できたお金は、子弟の教育に投下される。有名大学から、ユダヤ人の弁護士が多数輩出される。ユダヤ人は、大統領になれるとは思っていないが、ホワイトハウスのスタッフをユダヤ人で占め、事実上、この国を支配できると思っている。これもよく聞かされたユダヤ人陰謀説です。陰謀とまでは思いません。ただ、現政権でも女婿が中枢で「いい仕事」をしています。

同い年の弁護士から聞いた話です。彼は裕福なユダヤ人一家の息子でした。高校生の頃、サマー・キャンプで中西部へ行き、地元の可愛い女の子と仲良くなります。ある日、電話をすると「もう二度と会わない。電話もしないで」と言われます。「なぜ?」と聞くと、「パパから聞いたけど、あなた、頭に角が生えているんでしょ」と言われたそうです。NYは、まだ生きやすい方だよ、と言っていました。

差別はなくすべきですが、事は簡単ではありません。戦い続けることだけが、唯一向き合う道なのでしょう。ユダヤの象徴「ダビデの星」は、17世紀、ハプスブルグ家が、ユダヤ人部隊に与える旗印として、イエスズ会に相談して決めたものです。「ダビデ」の最初と最後ののDを組み合わせてあります。古代からあったものではありません。「ダビデの星」は、イスラエル国旗に描かれる一方で、差別的図形として、多くのソフトウェア上で禁止されています。複雑です。
イスラエル国旗   出典:wikipedia

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