
「The Score」を境に、フージーズは、各々ソロ活動に入ります。98年、ローリン・ヒルは、ソロとして「The Miseducation of Lauryn Hill」を発売。世界中で1,200万枚を売りあげる大ヒット。グラミー賞ではアルバム・オブ・ザ・イヤーはじめ5部門を制覇、女性アーティスト初の快挙でした。とにかく全曲が粒ぞろいの名曲ばかり、ローリン・ヒルの魅力を余すところなく伝えます。また、曲と曲との間にメッセージが挿入されるという斬新な試みも話題になりました。ローリン・ヒルは、フージーズ時代から、ラップに初めてメロディを持ち込んだ、と言われます。ローリン・ヒルの才能は、ラップというジャンルには収まりきらなかったというべきなのでしょう。それをネオ・ソウルと呼ぶ人もいます。
ネオ・ソウルは、90年代から言われ始めたワードですが、明確な定義があるわけではなく、他のジャンルとクロスオーバーしているソウル、といった感じでしょうか。私は、マーヴィン・ゲイの「レッツ・ゲット・イット・オン」(73)こそネオ・ソウルの傑作だと思っています。ただ、 ローリン・ヒルは、ソウルを超えたソウルの世界を築いているので、ネオ・ソウルとは呼べないと思います。
若くして大傑作を作ると、 後がしんどいのかもしれません。 子育て、 麻薬、 脱税で入獄。 フージーズ再結成も含め、 ライブは続けます。 ライブCD「MTV Unplugged」は出ましたが、 声が出ていませんでした。 サンタナの「Super Natural」客演でグラミー賞も取りました。 しかし、 本作以降、 アルバムは出せていません。19年、映画「Queen & Slim」に曲を提供。その録音が、何の問題もなく行われたことがニュースになるほどのトラブル・メーカーですが、曲は見事にローリン・ヒル節を聞かせてくれます。